吉田久一との出会いなど

私が(福祉系)大学に進学し、おやじもまた、福祉系の大学を卒業していたため、餞別のような方で本箱と少しばかりの自分が愛読した本を下宿に置いてくれる。(入門書的なものが多かったが)
一応、レポートなどを書く機会もあり、時にはお世話になっていた本箱の本であったが、その中でも、吉田久一の『日本社会事業史』(川島出版)は、私のバイブルとなる。この本は、古典であり、決して読みやすい文体でも内容でもない。むしろ、難解で、初めて読んだときはその内容の半分も理解をしていなかっただろう。しかし、折に触れて読み込んでいくうちに、その膨大な資料と知識、そして慎重な筆致、堅牢な文章に、これが本当の論文であり、学術書であると思うようになる。
それまで、カタカナがやたら出ていたり、なんだか最初はスリルがある語り口なのに、後半はだれてしまうものや、何をいいたいのか、批判なのか、迷走なのかさっぱり分からなものが氾濫している福祉の専門書にあって、吉田久一の本は本物である。そこには控えめながら、ちゃんとした批判の基準があり、思想がある。なによりも、学問に対する熱意と謙虚さがにじみ出ている。

もともと、福祉の歴史の変遷を読むのが好きであったが、『日本社会事業史』がそのきっかけになる。年表とかそういうのではなく、内部でどのようなうねりがあり、背景があり、本質は何かを洞察しながら、流動していく福祉の制度をバランスよく(政策、運動、行政など)から書いた名著といえる

また、『日本貧困史』(これも名著!)『日本社会福祉理論史』(1995年の理論まで言及)など詳細に慎重に書かれた論文は、これから福祉の勉強を始めようとしている人やあらかた広く読んできた人にとっては、知的好奇心を充分に満足させることが出来ると確信します。

膨大な資料の山、膨大な論文や著作、そして、限りない探求心、生きた思考。これが学者の仕事である。こうした人が福祉の学者であることを誇りに思います。Y(^^)ピース!

どのような理論、それは何がよいのかは後に書き込んでいきたいと思っています。

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