塩酸トラゾドン trazodone hydrochloride(JAN) トリアゾロピリジン系抗うつ剤1179i

【組成】
[錠]:1錠中25 mg,50 mg
塩酸トラゾドンは白色の結晶性の粉末で,においはない。

【適応】
うつ病・うつ状態

【用法】
1日75〜100 mgを初期用量とし,1日200 mgまで増量し,1〜数回に分服(増減)

【作用】
(1)薬効薬理(a)ラット脳シナプトゾ−ムで,ノルエピネフリンよりもセロトニンに対して強い取込阻害作用
(b)ラット(in vivo)で,ノルエピネフリン取込阻害作用はほとんど認められない
(c)ラット脳(in vitro)で,α1及びα2-受容体並びにセロトニン受容体に対して親和性を示すが,ドパミン受容体及びムスカリン性アセチルコリン受容体に対する親和性はほとんどなかった
(d)低用量では,セロトニンによるマウス首振り行動(head twitch)を抑制し,フェンフルラミンによるラット後肢屈曲反射高進を抑制し,セロトニン受容体遮断作用を持つと考えられる。高用量では,それ自体で後肢屈曲反射を高進し,セロトニン受容体に対する直接的な刺激作用を持つと考えられる
(e)ラットで,ノルエピネフリンによる昇圧反応を抑制し,α-受容体遮断作用を持つと考えられる
(f)ラットに25日間の連続投与でβ-受容体への[3H]-ジヒドロアルプレノロ−ル結合量が減少し,β-受容体感受性が低下すると考えられる
(g)従来の三環系抗うつ薬と異なり,ラットでの抗レセルピン作用,マウスでのメタンフェタミンの作用増強効果を示さず強制遊泳試験でも作用が認められず,マウスでの抗コリン作用もほとんど認められなかった
(h)健常人での定量脳波試験で,100 mg投与1時間後にthymoleptic型の脳波変化を示したが,低域α波の増加と速波の減少が特徴的。本剤の作用特性は精神賦活作用よりも抗不安・鎮痛作用が強いと考えられる
(3)臨床適用
(a)臨床効果(131施設,二重盲検比較試験を含む有効率):精神科及び心療内科における各種うつ病・うつ状態52%(538/1,040)。なお,比較試験で有用性が認められた
(b)副作用:18.9%(601/3,181)に,眠気5.4%,めまい・ふらつき4.9%,口渇3.9%,便秘2.5%等

【製品・薬価】
デジレル錠25 アップジヨン-住友製薬 25mg1錠 31.80
レスリン錠50 鐘紡 50mg1錠 56.80

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