展覧会の絵

『展覧会の絵』
(森山安雄,創元推理文庫)
【入手困難】

このゲームブックは、他のどのようなゲームブックとも異なる。もちろん、『展覧会の絵』は美術館に納められている絵を題材にされた現代のミステリー風のものとも違う。『展覧会の絵』は「ムソルグスキー」が編曲した、音楽〜ピアノ曲です。もっとも、オーケストラを聴く人なら「ラベェル」の編曲したものを、プログレロックを聴く人ならEL&Pのを想起するかと思います。
とにかく、音楽を題材にした、その音楽の世界観の中を彷徨うようにゲームをするという異色のゲームブックでした。ホラーやミステリーのアドベンチャーゲームはたくさんあり、ときには、異色なゲームブックとして宣伝するけれど、このようなジャンルは後にも先にもありませんでした。

はじめは、前後不覚の記憶喪失の琴師として、幻想的な世界の中で彷徨っている主人公が、自分というものを展覧会の絵の1楽章毎の世界を通過していく中で、思い出していくという設定になっています。ルールの設定は至極単純で、おまけみたいなものですが、展覧会の絵におけるイメージがほとばしっています。
小説のように、一つの結末が用意されていますが、それでも、すごく読み応えのあるゲームブックでした。(これも絶版になっているので、探すしかないのですが)

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