田中芳樹

私の青春、それは『銀河英雄伝説』(全10巻、外伝4巻)(徳間書店ノベルズ)に集約されているといっても過言ではないでしょう。あいにく、私が高校の時もはやっていたのですが、そのときは、特に興味がありませんでした。女の人は、『ベルサイユのバラ』が回し読みされている時代です。大学に入ってから、友人が全部持っていたので、暇なこともあって、一冊借りたのが衝撃の出会いでした。(ちょっと、大げさですね)
作者が博士課程まで進んでいた人らしく、彼の作品の登場人物では、学究的な控えめなひと(けれどもきつい性格の部分がある)が物語を引っ張っているケースが多いです。
また、社会風刺がなかなかきつい人で、思わず、あるあるとうなずいてしまうことが多いです。しかも、タイムリーに風刺をするので、ファンタジーを描いているのですが、妙に現実的なところもあって、それがまた、おもしろいところです。
いわゆる、ジュブナイル小説なども書いている人ですが、私は、そうした小説を書く人が好きです。中には、だらだらとしたものもありますが、青春、冒険、ファンタジー、恋愛、学園そうしたものを臆面もなく書ける人は、私は単純に好きです。
とにかく、やっぱ『銀英伝』でしょう。あいにく、同人誌などは作らなかったのですが、メディアの発展ぶりは凄かったです。漫画、アニメ、ゲームなどなど。映画にもなったかな?
壮大なスケールで描かれていて、民主主義と帝国主義のぶつかり合い(ほとんどヤンとラインハルトのぶつかり合いだけど)、サイドストーリーもきっちり書かれていて、構想がしっかりして読み応えがあります。
知っている人は、なにを今更という感じだと思いますが、知らない人にも勧めたい小説です。ちなみに、同書店から文庫で出ています。
田中芳樹については、様々なホームページがあるのでそちらに作品の紹介は譲るとして、
個人的には、『銀英伝』は別格として、『夏の魔術』シリーズに見るほのぼのとしたタッチ?の小説が好きです。夜汽車に紛れた先は、黒魔術が支配する世界であったというものですが、肩の力を抜いて読める冒険ものです。
代表作に『アルスラーン戦記』(角川文庫)、『創竜伝』(講談社ノベルズ)などがあります。
また、中国ものも書いていまして、『風よ万里を翔けよ』(徳間文庫)などがお勧めです。
出版社については、結構ばらけていて、ノベルズでは、徳間、講談社、文庫では角川です。あと、有名な作品として『七都物語』は、早川書房からです。
やや、固い印象を与える文体ですが、しっかりとした描写と構想力が物語をカチッとしたものにしています。読んで飽きない作者だと思っています。

*関連ホームページ
田中芳樹の世界〜作品の紹介など
田中芳樹ML


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