スティングスティング(STING)

洋楽を聴く人なら、この人のことを知らない人はいないんじゃないでしょうか。イギリス(むしろイメージ的に英国?)の代表するアーティストです。また、スティングは、ポリスというバンドのメインボーカルでもありました。私とスティングの出会いは、結構古く、中学生の頃なので、かれこれ14年以上前のことでしょうか。私が中学生の頃は、80年代で、バンドブーム(バービーボーイズ、プリンセスプリンセスなどなど)やアイドル(オニャンコクラブなど)とかJ-POP、J-ROCK(その当時はそういう区分はなかった)がもてはやされると同時に、洋楽を聴く環境は今よりもたくさんあり、話題にも良く上っていました。しかし、いまは、結構洋楽を聴く人は、縮小傾向にあって、Hip-HopとかR&Bとか外国で有名なアーティストとかが話題になることもあんまりなくなったような気がします。また、一般の地上電波で洋楽があんまり取り上げられなくなったと思うのは私だけでしょうか。さらに、ラジオもあんまり聴かなくなってしまったのですが、私が思春期の頃に比べて、洋楽が話題になってオンエアされていないように思います。
スティングは、80年代から90年代にかけて根強いファンがついていました。ちょっとおしゃれな大人が聴くような雰囲気があります。そういう意味で、ある意味バブル的なのかもしれません。社会を風刺している歌詞も多いのですが(それは今になってみれば、ポーズを付けていただけなのかなぁと思わないでもないのですが)、その当時は、そうした歌を歌えることがかっこよかったりしました。愁いを帯びた、けだるく、ちょっとしゃがれた感じの歌声、音の構築は、ロックのような、ジャズのような、割と静かな曲調で、メッセージ性の強い歌詞と相まって、歌は、遠くで響く雷鳴というか不穏なそんな雰囲気を醸し出していました。
何ともいえない曲調で、私は、そのころ聴いていたピーターガブリエルやケイトブッシュ、ジェネシスなどと同列に好んで聴いていました。(ポリス時代のが中心ですが)今もその傾向は続いていて、レディオヘッドとかもそんな印象として聴いているところがありますが、いかがでしょう。
スティングは、ポリス時代から集めているんだけど、初期は初期で良かったりします。というか、あんまりこの人は変化や実験とかあんまり見えない人で、作品としてかなり練り込んで昇華してしまうので、進歩はしているんだろうけど、わかりにくいところがあります。初期(ポリス)は「don't stand so colse to me」(高校教師)とか「evry breath you take」(見つめていたい)をよく聞きました。あと、スティング名義では、ファースト「ブルー・タートルの夢」の(見つめていたい)の反対の意味で作ったとされる「if you love somebody set them free」とか「moon over Bourbon street」、セカンド「ナッシング・ライク・ザ・サン」の「Englishman in New York」とかよく聞きました。また、レオンのテーマにもなった音楽「テン・サマナーズ・テイルズ」の「shape of my Heart」とかは私の青春期(大学生の頃麻雀にはまっていた時期)テーマソングにもなっていました。それはギャンブラーの歌で、その人は、お金でも尊敬を得るためでもなく、チャンスに関する神聖なる幾何学、起こりうる結果についての隠された法則を求めている〜でもそれは分からず、いつも数字がすべてを引きづりまわすといった内容に吉田琢郎の歌にでてくるサイコロを持ち歩く爺さんの歌が重なって、すすけた人生もまた男の浪漫だナァと思ったりしました。また、最近では、コーネリアスがアレンジをした「brand new day」とかも名曲です。更に昔、フランクザッパのコンサートにも一曲歌っていたり(ZAPPA:[broadway the hard way]内の「murder by numbers」)とスティングは良識派と勝手に思っているのですが、以外と何でもありなのかなぁと思ったりもします。(政治風刺的な面で結びついたのかな)
私の中で、ビリージョエルやエルトンジョンと同列なくらい名声を持ち得ているアーティストと思っているのですが、なんだかんだいって、ずっと聞き込んでいるのはスティングだったりします。そんななか、おすすめのアルバムとなると、なかなか難しい物があります。なぜなら、ポリス時代もスティング名義でも、共にベスト盤がでているからです。そういった意味で、一つに絞る必要がないと思わないでもないのですが、トータルでいいなぁと思うのは、やっぱり「ブルータートルの夢」です。スティングらしいエッセンスが一番詰まっているんじゃないかと思います。後期のスティングは、より軽やかによりキャッチャーになろうとすごく苦労するのですが、その過程が分からないと、なんだかありきたりな音楽の印象を持ってしまうように思われます。
しかし、上記に紹介した曲を聴きながら夏の夕闇の中、女の子を乗せて、ドライブをすれば、ちょっと懐かしいバブル的な雰囲気に浸れることは間違いないでしょう(笑)(2003.8.5)

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