死の罠の地下迷宮


『死のワナの地下迷宮』
(リビングストン,社会思想社)
【入手可能】

『ダンジョン&ドラゴンズ』が流行っていたこともあって、ゲームブックもその例外なしに、冒険の設定やシナリオもそれに踏襲したモノになっている。社会思想社のゲームブックには『さまよえる宇宙船』という異色作もあるが、そのころやはり流行っていた、SFのTRPG、『トラベラー』の影響を受けている。もっとも、TRPGそのものは、それ以前に小説で、英雄モノ、幻想モノ、SF、妖精モノなどの影響を受けているため、まねをしたとかそういうモノではない。しかし、このような読者参加型やロールプレイのゲームとしてのファンタジーモノには、このダンジョンが冒険として、すごく適しているという共通性がある。
通路を右に曲がるのか、左に曲がるのか。それによって、展開が違い、それを選ぶのは読者である。もしかもしたら、ある場面で、その選択が間違ったばかりに、乗り越えられないことに遭遇するかも知れない。また、そこには、難関があり、時には戦闘をしないといけない。それも、サイコロに振り回され、失敗をすれば死を招く。その連続が、一つのキャラクターのストーリーを生み出す・・・。
良いダンジョンの設計は、読者を引き込み、良いストーリーは、読者を魅了する。
『死のワナの地下迷宮』は、そういう意味では、かなり良いダンジョンでした。
設定が面白い。簡単にいってしまえば、その統治者が、道楽あるいは気まぐれ、または、町おこしのようなモノで、地下迷宮を作り上げる。その難度にだれ1人クリアしていない。賞金も莫大で、しかも名誉も多大である。いつしか、地下迷宮は名物となり、周りには、様々な店が建ち、開催される頃は、熱狂的なフェスティバルとなる。キャラクターが参加するときも、5人の個性ある挑戦者がいて、迷宮の中で、死んだり、協力したり、裏切ったり、苦渋の選択を迫られたりする。また、迷宮自体も巧妙に仕掛けが施されていて、しかも、プレイバランスがしっかりしている。
地下迷宮に挑戦するという雰囲気が良く出ており、しかも、地下迷宮自体の臨場感がたっぷりである。しかも、挑戦者やそこにいるモンスターにもストーリーがある。やり始めたとき、中学生で、しかも、D&Dをしていた時期でもあり、すごくはまったゲームブックでした。

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