プリンスプリンス(prince)
私の青春と共にあったすばらしいアーティストです。私が聴きだしたときには、すでにいわゆる絶頂期を過ぎていて、「BAT MAN」がはじめてでした。グルーブ感、ねちっこいファンク、たぶん、私は、黒人音楽が好きなのでしょう。(アースウィンド・アンド・ファイヤー、アレクサンダー・オ・ニール、モールス・ホワイトなどなど)
折しも、そのころ、マイケルジャクソンの「bad」が流行っていたときで、その対極にあるプリンスにはまりこんでしまったのでした。なぜか。(「bad」も名作ですが)
ほとんどのアルバムのクオリティは、他のアーティストが一生かかっても作れるのかどうかという、高い音楽性を誇っていますが、あくまでも今まで名前は聞いたことがあるけれど、または、気持ち悪いでしょとか、もう昔の人でしょという人のために一つだけ挙げるとしたら・・・、「the gold experience」です。
実験性と商業性の狭間にあって、最近のアルバムの中では商業性が強いアルバムですが、それも、単に売れ線をねらったものではなく、あくまでも、重厚な積み重ねの上に作り上げられて、その音楽性がよく分かるものではないでしょうか。格闘技のK-1でのオープニングにも使われているものがあります。(endorphinmachine)
商業性というと聞こえが悪いかも知れませんが、実験性が行き過ぎれば、聴く人を選んでしまうし、商業性が強すぎれば陳腐であるし、そのバランスの上で、ある意味成熟したアルバムであると思います。聴いたことのない人には、新鮮な音楽がそこにあることに気づかせてくれるものと思います。また、気持ち悪いのではと言う先入観をお持ちの方にも、このアルバムは、1995年に作られたもので、ある程度時代から距離が置かれているので、聴きやすくなっているものと思います。また、もう昔の人でしょという人は、このアルバムで、結構すごいと思うかも知れません。
時代と共にあって、でも、少しだけ先を行っているアーティストです。
ブラックミュージックを聴く人は、避けて通れない人でしょう。

追記(2003.10)
時々思い出したように、運転中の音楽として聞いている。プリンスがほとんどメディアには出なくなって、ネットによる配信が主流になってしまい、ショップでもアルバムのコーナーがかなり縮小されてしまっている。で、時々懐かしくなって聞くのだが、『グラフィティ・ブリッジ』は結構面白いアルバムだナァと再認識している。このアルバムは、プリンスが『パープルレイン』のムービーで成功したのを引きずって、これまで3流・4流のくだらないムービーを作っていたのだが、『グラフィティブリッジ』はそのサウンドトラック的な意味合いの強い、プリンス傘下のアーティストが入り乱れているものです。もともと、『パープルレイン』もサウンドトラック的な要素が強かったようだが、はっきり言って、ムービーに関しては演技はださいし、構成もなっていない。ミュージックビデオの方がまし。そんなこんなで映像面では、プリンスは「からっきし」だが、そのために作ったアルバムは格好いいのです。「アンダー・ザ・チェリームーン」のために作った『パレード』とかもすごく当時としては斬新だった。
で、話を「グラフィティブリッジ」に戻し。このアルバムは、『LOVESEXY』『ブラックアルバム』『BATMAN』の後に出されたアルバムで、その前の『パープルレイン』『アランド・ザ・ワールド』『パレード』『タイム・オブ・サイン』の実験を経て、ポップ路線で来た流れにある。ある意味、プリンス節の時期とも言える。高校生の時によく聴いたアルバムでもあり、放送部の友人にしばらくプリンスの特集をしてもらっていて、昼食時にオンエアしてもらっていた最後のアルバムだったような…で、友人からも一番格好いいと言ってもらったような…とにかくバラエティに富んでいるし、聴きやすい。また、ロックからオーケストラ調のもあり、私的には、P-FUNKとか初期のファンクの匂いも感じられるものが好きで〜「We can Funk」など〜ニヤ〜としてしまう曲調もある。今のR&Bとかヒップ・ホップなんかを聴く人にも結構うけるんじゃないかナァと思ったりする。
と、書きながらその後どのくらいアルバムを作ったかナァと戸棚を探っていたら、結構忘れているアルバムがあったりする。で、ロック調にまとめたもの、ファンク色が強いもの、ジャズっぽいものなど様々なアプローチをしているんだなぁと感心しながら、初期の頃に比べて印象がやっぱり薄い。でも、後期のアルバムでも結構格好いいのもある。再確認したのは『ラブ・サイン』『ニュー・パワー・ソウル』なんかは抑えておきたい。また、総決算的な『emancipation』は聴くべし。それ以後は、著しくアルバムの入手が困難になってしまっている。『ザ・レインボウ・チィルドレン』なんかはネット配信だったし(一部ショップには置いてある)。ある意味、このアルバムもジャズ風ですごく実験的なんだけどね…しかしまぁ、プリンスを聴いていると、私も基本的にファンクが好きなんだナァと再認識してしまう。プリンスもまた、どんな音楽を作り出しても基本はファンクなんだよナァ〜プリンスそのものがファンクであるともいえる。

追記2
2006.3月にプリンスの新譜が出た。「3121」という意味不明のタイトルだが、これは往来のプリンスが創り上げてきた音のオンパレードであった。「エマンシペーション」のようなロマンティックな音づくりからファンキーなもの、ねっとりとからみつくようなものまで。また、最近のプリンスが追求してきた、ジャズセッション的なピアノやホーンの使い方まで、随所にプリンス節が見られます。で、また、最近80年代のプリンスの音を聞いてみる。あの頃から、変わっていないところもあるけど、やっぱりいまのプリンスの方が好きだナァ。進化しています。確実に。
いま手元にアルバムがないけれど、最近のR&Bやヒップホップの要素を取り入れながらも、R&Bに関してはあえて生演奏の良さを前面に押し出しています。しかし、自分がずっと追求してきたファンクに関しては、キーボードやデジタル化を図っています。
ヒップホップよりもファンクの方がかっこいいぜってプリンスが笑顔で話しているのようなそんなメッセージが聞こえています。
2006.5.12

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