ドラゴンファンタジー
シリーズ
暗黒城の魔術師
ドラゴンの洞窟
魔界の地下迷宮
七つの奇怪群島
魔獣王国の呪い
宇宙幻獣の呪い
幻し城の怪迷路
ゾンビ塔の秘宝

『ドラゴンファンタジーシリーズ』
(J.H.ブレナン,二見書房)
【入手容易】(青土社版)
詩人の魔人

二見書房から出ていた、とてもユニークで、エンターテイメント性あふれる。ワクワクするような作品群です。時代は、アーサー伝説をモチーフにし、雰囲気としては、霧がかかった、シュールなファンタジーのような世界観だと勝手に思っています。
(同様な錯覚として、『不思議の国のアリス』(ルイス)現代的には『はてしない物語』(エンデ)を想起します)
挿し絵も役割も大きく、そのコンテや木炭で書いたような挿し絵は、想像力を増幅させます。
このシリーズの特色として、巻末に切り抜いて使う、マップや本書に使う魔法の船、ペダルなどを組み合わせて、本文の中と相互に照らし合わせながらゲームをしていくということです。(挿し絵に隠されたパラグラフなんかを読み解くパズル的要素もある)
子供心に、この付録ともいえる、巻末のユニークな数ページを使いながら、物語が進行「させる」のは、とてもドキドキしました。もちろん、作者は、マップを載せることによって、ずるをする読者を計算に入れて、それだけでは、絶対に物語の達成ができないように本文に謎や手順を織り込んでいたので、結局は、ルールに則って、きっちりとやらないと達成できないようになっていました。
もっとも、シリーズの中で楽しんだ作品は、『魔界の地下迷宮』でした。マップには、1階から3階まであり、階ごとに進む歩数が決められていて、また、隠し部屋には、部屋の隅々まで行き、鍵やヒントを集めたりしなければいけませんでした。また、アイテムの持ち数も決められていて、どれを捨てるのかとか、結構、厳しいものがありました。でも、制約が大きかった分だけ、達成感は強かったです。
でも、このシリーズははずれが無く、発売がすごく楽しみで(よく延期もしていてヤキモキさせられた)、本を買いに行くというそれだけの楽しみがありました。

とにかく、登場人物やモンスター、物語性がすごくユニークな作品群でした。
しかし、現在(2000年)、すでに本の流通をしていないので(要するに絶版)、古本屋などで探すしか無くなりました。みつけても、付録が切り離されていたりしていることが多いため、プレイできないこともあったりして・・・。ネットオークションでは、見つけることが出来るかな?

追記 2004年に青土社から『暗黒城の魔術師』が復刊、2006年に『ドラゴンの洞窟』も発売されました。挿し絵は同じ絵師で、しかも増量でした。また、付録としてついていた様々なギミックは本の中に織り込み、切り離す必要が無く今度は無くさないで済みそうです。近々『魔界の地下迷宮』も復刊されるでしょう…楽しみです。
とにかく、作りがかなり丁寧で凝っています。装丁から訳のし直し、巻末につけられた訳者のコメントまで、往来のゲームブックファンを楽しませてくれます。しかし、昔は新書で650円くらいだったのが、1200円。しかし、「バルサスの要塞」や「火吹き山の魔法使い」の800円に比べると作りの丁寧さや凝りようからすればかなり、お買い得感があります。
しかし、こちらの会社でもゲームブック部門は経費が削減されてきているとのこと。う〜ん、大丈夫だろうか。しかし、この本シリーズと企画はゲームブックに愛情がたっぷりある会社と社員とゲームブックを知悉している翻訳者と絵師が頑張っている。がんばれ〜。
2006.5.12

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