ニトラゼパム nitrazepam(JP) ベンゾジアゼピン系催眠剤 1124,1 139i

【組成】
[散]・[細]:1% [錠]:1錠中2 mg,5 mg,10 mg [カ]:1カプセ ル中5 mg
ニトラゼパムは白色〜淡黄色の結晶又は結晶性の粉末で,においはない。氷酢酸に溶けやすく,アセトン又はクロロホルムにやや溶けやすく,メタノ−ル,エタ ノ−ル又は無水エタノ−ルに溶けにくく,エ−テルに極めて溶けにくく,水にほと んど溶けない。融点:約227°(分解)

【適応】
(1)不眠症
(2)麻酔前投薬
(3)異型小発作群(点頭てんかん,ミオクロヌス発作,失立発作等),焦点性発作(焦点性けいれん発作,精神運動発作,自律神経発作等)。ただ し,チスボン,堀田薬品,陽進堂は(2)(3)を持たず,カルスミン,大蔵は(3)を持たない

【用法】
(1)不眠症:1日1回5〜10 mg就寝前(増減)
(2)麻酔前投薬:1回5〜10 mgを手術前 (増減)
(3)異型小発作群及び焦点性発作:成人,小児共,1日量5〜15 mgを適宜分服(増減)

【作用】
(1)薬効薬理
(a)睡眠作用()大脳辺縁系(特に扁桃核,海馬)並びに視床下部にその作用点があり(ネコ及び家兎),情動障害を取り除き覚せい賦活系への余剰刺激伝 達を遮断して睡眠状態に導く()得られる睡眠は,脳波的にも,外来刺激による覚せい反応の様相(ラット),ヒトの睡眠ポリグラフからも自然睡眠に近い()投与後通 常15〜45分程度で入眠し,持続も約6〜8時間と自然睡眠のサイクルに類似
(b)抗けいれん作用:マウスのペンテトラゾ−ル,ベメグリドなど薬物による間代性けいれんに対して抑制作用
(c)静穏作用(闘争マウス・粗暴サルに対する馴化作用)
(d)筋弛緩作用(マウス・ネコ)
(3)臨床適用
(a)臨床試験成績()不眠症:内科,外科,精神科領域疾患における情動障害による睡眠障害に投与(大部分が5〜10 mg)し, 入眠時間,睡眠持続時間,睡眠状態等各項目から総合判定した有効率73.3%(77/105)。各種睡眠障害に対し比較対照試験で有用性が認められた()麻酔前投薬:外科, 麻酔科で手術前後及び手術の不安等からくる不眠,手術前緊張等に対し有効率88.3%(121/137)()てんかん:異型小発作群,焦点性発作等のてんかん発作に対し,半 数以上[異型小発作群53.3%(56/105),焦点性発作55.2%(48/87)]に発作の減少並びに完全抑制が認められた。有効例では効果発現は,主に1〜2週で発作が消失,脳波 異常所見,特にhypsarrhythmiaの改善が認められた
(b)副作用:3,294例中,翌朝の体の調子に関する訴え(ふらふら感5.1%,残眠感4.19%,倦怠感3.64%,頭痛・頭重感 1.58%,宿酔0.73%等)が大半,次いで口渇1.06%,悪心・嘔吐0.78%等,数例の薬物依存例

【製品・薬価】
カルスミン錠10 住友製薬-アップジヨン 10mg1錠 16.00
チスボン錠5 鶴原 5mg1錠 6.70
ニトラゼパム散(旭化成) 旭化成 1%1g 12.30
ネムナミン錠5 北陸 5mg1錠 8.40
ネルボン散 三共 1%1g 25.30
ネルメ−ト錠5 沢井 5mg1錠 6.70
ノイクロニック錠5 大洋 5mg1錠 6.70
ヒルスカミン イセイ 5mg1錠 6.70
ベンザリン細粒 塩野義 1%1g 25.30

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