塩酸マプロチリン maprotiline hydrochloride(JAN) 四環系抗うつ剤 1179i

【組成】
[錠]:1錠中10 mg,25 mg,50 mg
塩酸マプロチリン は白色の結晶性の粉末で,においはない。メタノ−ル,エタノ−ル又は氷酢酸にやや溶けやすく,水に溶けに くく,ジオキサンに極めて溶けにくく,エ−テルにほとんど溶けない。融点:約244°(分解)

【適応】
うつ病・うつ状態

【用法】
1日30〜75 mgを2〜3回に分服,又は1日1回夕食後あるいは就寝前に投与できる(増減)

【作用】
(1)薬効薬理:主として神経終末へのcatecholamine取り込み阻害作用によるcatecholaminergic activityの増強が抗うつ効果に結びつくと考えられる。抗reserp ine作用,抗tetrabenazine作用,norepinephrine取り込み阻害作用等では従来の抗うつ剤に類似した作用態度を示すが,serotoninの取り込みには阻害作用がみられ ないこと,中枢性の抗コリン作用がほとんどないこと,あるいは強い馴化作用を併 用していることなど三環系抗うつ剤とは異なる作用スペクトルを持つ薬物
(3)臨床適用
(a)臨床効果()1日2〜3回分服:一般臨床試験554例の改善率は著明改善26.5%(147例),中等度改善以上56.9%(315例),軽度改善以上71.5%(396例)()1日1回投与:一般臨 床試験284例の改善率は著明改善24.6%(70例),中等度改善以上61.3%(174例),軽度 改善以上85.9%(244例)()二重盲検比較試験5試験で有用性が認められている
(b)副作用:18.3%(2,417/13,187)に3,743件,胃腸系(口内乾燥,便秘等)9.9%,精神(傾眠,不眠,神経過敏等)5%,中枢末梢神経系(めまい,振戦,言語障害,頭痛等)3.8%,一般 的全身(倦怠感,無力症等)1.8%,皮膚付属器官(発疹等)1.2%,肝臓胆管系(GOT上昇, GPT上昇等)0.8%等
(4)非臨床試験(a)毒性LD50(mg/kg)マウス:経口=♂480♀485,ラット:経口=♂1300♀1250
(b)生殖試験:マウス及びラットの器官形成期15及び30 mg/kg/日経口投与で胎生期の胎仔の発育にわずかな遅延以外に特記すべき異 常所見は認められていない
(c)薬物依存性試験:依存性は認められなかった
(d)一般薬理:末梢性抗コリン作用(モルモット,ウサギ),心血管系に対する作用(イヌ,ネコ,ラット),抗ヒスタミン作用(モルモット)等はイミプラミン等より弱い (日 本チバガイギ−による) 再審査終了。CIBA-GEIGY(スイス)開発

【製品・薬価】
クロンモリン錠10mg 高田 10mg1錠 22.30
ノイオミ−ル錠10mg 共和薬品・三井 10mg1錠 22.30
マプレス錠10mg BMKK 10mg1錠 22.30
マプロミ−ル錠 小林化工 10mg1錠 22.30
ルジオミ−ル錠10mg チバガイギ− 10mg1錠 22.30

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