炭酸リチウム lithium carbonate(JP) 燥病・燥状態治療剤 1179i

【組成】
[錠]:1錠中100 mg,200 mg
炭酸リチウムは白色の結晶性の粉 末で,においは ない。水にやや溶けにくく,熱湯に溶けにくく,エタノ−ル又はエ−テルにほとん ど溶けない。希酢酸に溶ける。水溶液(1→100)のpHは10.9〜11.5

【適応】
燥病及び燥うつ病の燥状態

【用法】
1日400〜600 mgから開始,2〜3回に分服。以後3日〜1週間ごとに1日1,200 mgまでの治療量に漸増,改善がみられたならば症状を観察しながら,維持量1日200〜80 0 mg,1〜3回分服に漸減(増減)


【作用】
(1)薬効薬理
(a)自発運動抑制作用:回転カゴ法及びAnimex法で,リチウム0.54〜2. 71 mmole/kg/日をマウス(ddy系雄)に7日間腹腔内連続投与で,用量依存の自発運 動抑制が認められるが,回転棒法では抑制がみられないことから,その抑制作用は筋弛緩作用によらないことを示唆
(b)抗メタンフェタミン作用:マウス(ddN系雄)で,メタンフェタミン,メスカリン等の興奮性薬物に対し拮抗作用
(c)条件回避反応抑制作用:Sidman型条件回避行動で,学習良好及び不良ラット(Wistar系雄)共に,回避反応回数を軽度に減少
(d)闘争行動抑制作用:foot shockあるいはisolationによって生ずるマウス(ddN系雄)の闘争行動に対し強い抑制作用,ED50は各々1. 49 mmole/kg,0.75 mmole/kg。カタレプシ−作用は弱い
(e)神経伝達物質の代謝に対する作用:シナプスにおける脳内モノアミンの動態との関係は()脳内アミンの 生成抑制作用()アミンの活性化を抑えてMAOによる代謝増加作用()シナプス小胞のアミン貯蔵能を低下させ細胞内アミン放出作用()シナプス間隙への放出抑制作 用()活性アミンの再取り込み促進作用()adenylate cyclaseやcyclic-AMPなどに 作用し,アミンに対する受容体の感受性調節作用
(f)作用機序:完全に解明されていない。中枢神経系のNA作動系,DA作動系,5HT作動系で,際立った作用機序になるものはなく,多くの作用が複合的に関連して作用するものと推測される
(3)臨床適用
(a)臨床効果(多施設二重盲検試験を含む有効率):燥病77.1%(450/584),燥うつ病の燥状態71.4%(1,160/ 1,625)
(b)副作用:15.6%(794/5,087)に,振戦4.5%(231件),口渇2.4%(123件),下痢1.2%(62件)等。まれに重篤なリチウム中毒も報告されている


【製品・薬価】
リチオマ−ル錠100mg 藤永 100mg1錠 16.90
リ−マス100 大正製薬 100mg1錠 18.80

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