地域福祉
地域福祉の運営方法・提供組織・財源について述べる
地域福祉の推進は以下の3類型によってなされる。
- 地域共通の社会的な福祉ニーズを明らかにし、必要な社会資源や人員を動員する。
- 個人の生活の具体的なニーズから出発し、ニーズを普遍化しサービスを開発する
- 地域住民の問題意識を顕在化し、問題解決への動機付けをねらいとして行われる。
ニーズには潜在的(客観的)ニーズ、顕在的(主観的)ニーズがある。また対象カテゴリー(生活保護、母子家庭など)として捉える。ニーズ充足に即応した類型、貨幣ニーズ・非貨幣ニーズ、公的(行政的)ニーズ、私的(ボランタリー)ニーズなどがある。
昨今の地域福祉では非貨幣ニーズが重要である。〜地域社会の中で対象者を弱者としてみるのではなく、援助が必要な部分を保った生活の主体者である。人としての尊厳を尊重し、自立支援するという視点が必要である。
地域福祉では、ニーズの発見のシステム化とケアマネイジメントが重要である。マネイジメントの方法については、アセスメント→立案→実施→モニタリングで行う。高齢社会の到来により在宅支援センターがケアマネを行うことになった。あるいは、ケアマネの手法は地域福祉権利擁護事業(社協主体)に生かされている。
地域福祉計画の手法として、
- ニーズ把握の準備段階では、地域特性、要援護者の把握、住民の指向、福祉水準などの基礎調査を行う。ニーズ把握では、統計調査とそれ以外に分かれる。統計以外では、既存の文献資料の解析、話し合いによるニーズ把握(住民座談会、専門家からの情報収集、地域踏査、活動を通じて)などがある。統計では、個別面接調査、配票調査、郵送調査、集会調査などがある。
- 社会的協働によって解決を図るニーズ、問題の顕在化では専門家による多面的な分析、何を優先して行うべきかを明らかにする。
- 問題を周知して、解決活動への動機付けを行う。情報、広報などでの周知の徹底である。あるいは、共有化を図る。
地域福祉計画
詳しくは月刊福祉の関係項を参照
社協が作成する地域福祉活動計画は、「社協発展強化計画」としても位置づけられている面がある。地方自治においては、自治体総合計画などがある。また、介護保険や障害者自立支援法において福祉計画、支援計画の策定が努力義務として盛り込まれている。
老人保健福祉法では、都道府県も市町村も計画は義務化されている。
介護保険法では、都道府県(支援事業計画)と市町村(事業計画)は義務化されている。
障害者基本法により、都道府県と市町村は努力しなければならない。
国主導では、ゴールドプランや障害者基本計画、エンゼルプランなどが代表的である。
組織・団体・専門職
- 国庫扶助で設置された「福祉活動専門員」(昭和41)の配置により市町村社協の地位衣服しか集うが活性化された。また、権利擁護事業の具体的な援助の提供は、専門員の指示を受けた生活支援が行う。ちなみに都道府県は福祉活動指導員、全国段階では企画指導員がいる。都道府県のは補助金ではなく一般財源化(平成6)される。
- 児童委員は警察や保護司などと共に家庭裁判所に必要な援助を行う。
- 福祉活動専門員は、民会社会福祉活動の推進方策についての調査・企画・連絡調整などを行う〜社会福祉士または社会福祉主事が任用資格である。
- 民生委員の本分は、住民の意見を拾うことである。または対象者への情報の提供その他の援助である。また、民生委員協議会は必要な意見を関係各庁に具申することが出来る。
サービス提供組織と運営
- NPOは、社会福祉を主たる内容とする組織が最も多い。また、特定非営利活動促進法は、保健・医療・福祉の推進、社会教育の推進、国際協力など法が示す目的に添った活動を行うNPO団体を対象としている。また、NPOは、利害関係人からの事業報告書などに関しての閲覧の請求があった場合は、正当な理由がある場合をのぞいて、拒否できない。
- 社会福祉・医療事業団は、社会福祉事業施設の設置、在宅サービスに必要な資金の貸付を行っている。また長寿・子育て・障害者基金によりボランティア団体などへの助成を行う。
- 介護保険制度では、NPOなどもサービスの提供主体になれる。
- 知的障害者生活支援事業は、地域で生活している知的障害者に対して、通勤寮などに配置された生活支援ワーカーが生活上の相談に応じ、支援を行う。
- 権利擁護事業は都道府県社協がサービスの利用支援を行う。
- 地域型支援センターの事業内容には、サービス利用の移行及び今後の課題などを記載したサービス基本台帳を整備する。
財源として
地域福祉基金は、原資を地方交付税交付金である。1991年に設立された地域福祉推進特別対策事業である。
共同募金は1947年に民間社会福祉への公的財政援助打ち切りに対応して国民助け合い共同募金としてはじめられ、1951年に社会福祉事業法に措置委託費が出来るまで大きな役割を果たした。
- 共同募金の募金総額のうち半分近くの金額が社協を中心とする地域の福祉サービス事業に分配されている。また、募金総額の1割は広報などの必要経費として配分されている。また、公正な配分に資するため都道府県共同募金会に配分委員会の設置が義務づけられている。また、募金を行うには、あらかじめ都道府県社協の意見を聞き、配分委員会の承諾を得なければならない。
- 地方交付税制度の機能として地方公共団体の財政力の格差を解消するための「財源調整機能」と行政の計画的な運営が可能になるように必要な財源を補償するための「財源保障機能」がある。公共団体が借り入れれた地方債の元利償還金及び一時借入金の利子の合計額である「公債費」び一般財源総額に対する割合を「公債費負担比率」といい、この率が高いほど財政運営の硬直性が高い。<
社会福祉基金では、共同募金と同形式を取り、集積した民間資金と行政の出損金の組み合わせが多く、その果実を各種民間福祉活動に配分している。
民間団体での寄付などがある。個人や小規模な資金量の場合は公益信託方式をとることもできる。また活動と資金確保が一緒に行われる会員制のもの、住民参加型福祉サービスとしての、有償家事援助サービスがある。
こうした民間の寄付・福祉基金・助成にたいする免税については、個人が寄付した場合は所得控除がなされる。法人が寄付した場合、損金算入される。会社などが一般に寄付金を支出した場合は一定の限度額まで損金に計上できるが、社会福祉法人、日赤は限度額は倍額に、また損金は社福法人、国、地方公共団体、日赤、民法法人などで大蔵大臣の指定を受けたものに対する寄付金は全額損金の算入される。
土地などの寄贈は譲渡所得が非課税となる。あるいは、個人が都道府県共同募金会。日本赤十字社に対し10万円以上の寄付をした場合、10万円を超える金額については個人住民税の控除が行われる。
2005.12.3