村下孝蔵

村下孝蔵
1999年に急逝した、日本の心を歌うアーティストでした。いわゆるポップスの中にあって、どちらかといえば、歌謡曲にカテゴライズする人もいるかも知れません。しかし、懐メロでもなく、演歌でもない。いわゆるJ-POPでもない。本当に、日本独自のポップスであったと思います。
また、橘いずみのギターのお師匠さんで、ベンチャーズをアコースティックでつま弾きするという超絶テクニックの持ち主でした。しかも、それに溺れず、あくまでも自分の歌い歌のための楽器として使い続けた誠実な人でした。
村下孝蔵は、80年代に「初恋」「踊り子」(『初恋』に収録)などで有名にな りました。その前もその後も、首尾一貫として、切ない恋心を歌い続けてきまし た。その声は素朴で、澄んでいて、そして暖かい。今のポップスでこうした歌を 歌える人はもういないと言っても良いと思います。
作品は、割とあって、その中でも、アルバムとしてお薦めするのは、『清涼愛聴盤』です。
『初恋』が青年期としたら、『清涼愛聴盤』は成熟期のアルバムです。ヒット曲 を作ってから、往々にして、それを乗り越えようとした野心的な作品を作ろうと して、時には失敗をするものですが、成熟期にあって、自分の作りたい歌、音を 取り戻し、じっくりと作っているアルバムです。
しかも、声はより張りがあり、瑞々しく、そして伸びやかに日本という風土の中にあって、心の中にある恋のキュンとした甘酸っぱ いのが琴線に触れて・・・。(歌の中にでてくる物語は、個人的には体験し得ないとしても、)
また、ベスト盤も5枚出ていて、その中でも、『同窓會』が入り口としては最適かと思います。そして、彼が最後に残したアルバムでもあります。
本当の「恋の歌」を聴きたい人にお勧めしたいと思います。

『同窓會』を聴けば、もう涙なしでは聴けないほど悲しい急逝でした。もう、あの歌声は聞けないのかと言うことで・・・。
*関連HPは
村下孝蔵のホームページ〜作品の紹介など(MLへのリンクあり)

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