川端康成

私が高校生の時から呼んでいた小説家です。
う〜ん、文体はすごくきれいなのですが、内容の怪しさは、なかなかのものです。
川端康成と聴いて、誰それという方は少ないと思うのですが、一応、紹介までに。
昭和初期の小説家で、『雪国』(新潮社文庫)でノーベル文学賞を取っています。
また、教科書で『踊り子』(新潮社文庫)が載っていたこともありました。日本の心を描写した人として後世に伝えられています。
個人的には、『川のある下町の話』(新潮社文庫)、『踊り子』などの純愛路線が好きです。『川のある・・・』は、あまり知られていない作品ですが、『踊り子』が初期の名小作品なら『川のある・・・』は、後期の名小作品です。敗戦後の福生を舞台に貧しい医学生、女学生、薄幸の美少女、知性の優れた女医、キャバレーの孤独な青年といういかにもという設定なのですが、今、読み返しても、逆に新鮮な物語です。このごろ、殺伐とした小説しかないなぁと言う方にお勧めです。
川端康成は、他には、怪しい題材として、『眠れる美女』(新潮社文庫)・・・前後不覚に眠らされた少女の傍らで老人が過去に耽る話や『片腕』(『眠れる美女』に所蔵)・・・夢の中で若い女が片腕をはずして、男に貸す話などがあります。
気色がやや違いますが、囲碁の観戦記『名人』(新潮社文庫)などがあります。
なお、主だった作品は、新潮社文庫から出版されていますが、中央公論社文庫からも出版されていたこともありました(廃刊になったものが多いが、『美しさと哀しみと』は、今はどうなったのか分かりませんが、ここで出版されていました。)また、講談社文芸文庫からレアな作品が出版されています。(『浅草紅団』、遺作『たんぽぽ』など)
他にもいろいろとあって、いちいち作品紹介をしてもいいのですが、知っている人は、ちゃんと分かっているので、あくまでも、独断と偏見で選ぶとしたら、上記のように、『川のある下町の話』の一点です。

*関連ホームページ
川研WEB〜作品紹介など

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