ソーサリー
シリーズ
『魔法使いの丘』
『城砦都市カーレ』
『七匹の大蛇』
『王たちの冠』


『ソーサリー』
(スティーブ・ジャクソン,創元推理文庫)
【入手困難】


ゲームブックをやったことのある人なら、このシリーズを見た、あるいはやったことのある人がほとんどではないでしょうか。社会思想社からでた「ファイテング・ファンタジー(FF)」と並んで、この『ソーサリー』シリーズは当時のみんなの熱中の的でした。
これは、単一の物語ではなく、4巻まで続くキャンペーンとして壮大な物語、あるいは連続した物語として、何より、ゲームブックとして存在していることに大きな意義がありました。小説でも、長大な物語やシリーズがありますが、主人公が決められているのに対して、ゲームブックでは、自分で選択すると言うことや、謎解きをしながら物語を進めていけると言うことで、とても面白かったのです。(小説でも、主人公に感情移入したりドラマとして読めるようになると物語性としてとても面白いのですが)また、このシリーズは、ファンタジーの世界を十分に醸し出していて、その物語の構築もすごくよかったです。(正統的な作り〜いわゆるテーブルトーク(D&Dなど)の世界観)
魔法使いになって、道具などがその時々に散在して、その道具を使って、魔法をかけたり、場面ごとに切り抜けれたり、使い方次第では自滅したりといった感じで、しかも4巻にまたがるので、1巻で入手した道具が4巻では大きな意義を持ったりするので、何も知らずに4巻まで来て、ピンチを招くことがあります。
一応初心者のために、あるいは、呪文を覚えるのが面倒という人は、戦士になって、冒険をすることが出来ます。(スティーブ・ジャクソンはゲームメイキングとしても、重鎮で、簡単なルールで楽しめるルールを作成していることで有名です)
『魔法使いの丘』は、出発点として、フィールドアドベンチャーになっています。『城砦都市カーレ』は、迷宮と都市というシティアドベンチャーとダンジョン的な要素が強く、下水道を通ったり、一癖ある住民や罠、祭りなど、中世的な雰囲気とファンタジーが錯綜した感じになっています。『七匹の大蛇』は、大魔王の下僕の大蛇が、主人公が本拠地を目指しているということを知らせようとするのを阻止しようとするのが目的で、再びフィールドアドベンチャーになっています。また、この大蛇にもそれぞれに特徴があり、倒すために、道具を見つけたりしなければ行けません。また、大蛇たちの特徴も独特で雰囲気がでていました。『王たちの冠』は、キャッスルアドベンチャーの王道を突き進んでいます。これまでのアドベンチャーの結末に向けて、2倍の厚さになっています。物語性は、重厚で、今までの冒険の集大成であり、今までの物語を反芻しながら、進めていくので、興奮度大です。魔王を意外にも・・・。そして、あの道具がなければ・・・。
とにかく、ゲームブックでファンタジーを題材にしたものの全ての要素を含んでいて、しかも、物語性(背景、世界観)もしっかりとしたシリーズであるといえます。
創元推理文庫がゲームブックをほとんど廃刊にしたので、このシリーズも古本屋でしか入手できなくなってしまいました。

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