初恋
シリーズ
蓬莱学園の犯罪(上下)
蓬莱学園の魔獣(上下)
蓬莱学園の革命1(2000.9.22)
弁天女子寮攻防戦
パーフェクト・ラブレター
騎馬っていこう!

『蓬莱学園シリーズ』
(新城十馬他,富士見ファンタジア文庫)
【入手容易】

友人が薦められた本の中で、結構愛読してしまったのがこのシリーズです。特に『蓬莱学園の初恋』は、中でも最もよく読んだ本の一つです。蓬莱学園は、島自体が学園で、そこには500万人の生徒がいる。その生徒たちは、一筋縄でいかない性格や行動力があり、冒険が日常で、そして冒険が日常で、事件は些細なものから大がかりなものまで。その設定が何でもアリでありながら、学園であり、青春であるというとても、取っつきやすいものになっています。
『蓬莱学園の初恋』は、主人公が入学したときから始まります。そこで、主人公はある女子生徒に一目惚れをするのですが、なかなか会うことが出来ない。遁走(フーガ)劇となり、いろんなやっかいごとに遭遇し、そして、ある大きな事実にぶつかるという。それが、学園の中での出来事であり、そして、初恋であり、高校生の熱情であったりして、つぼにはまっているとしか言えない出来映えでした。サークルの掟とか学校でしかない変なルールや組織がふんだんに盛り込まれていて、あのころ、あーだったなぁとか感慨に耽ったりしました。公安委員会や自治組織、生徒会組織、女子寮など。

『蓬莱学園の犯罪』は、主人公が学園ではいわゆる権力的なクラスの人との遭遇から始まる、陰謀劇のようなもの。
『蓬莱学園の魔獣』では、ある女の子の誕生から学園の謎とされる森をめぐる冒険物。
『蓬莱学園の革命』では一つ出来事が大きな学園を巻き込んだ事件に発展するという物。
共に、スケール的には大きく、作者の新城十馬の個性であると思うのですが、構成がしっかりしていて、最後まで雰囲気ある物語を作っています。パズル的な構成で、一つ一つの出来事が一見バラバラに進行しているように見えるのですが、読み勧めるうちに大きなうねりとなってクライマックスに持っていくのは、読んでいてスリルがあります。

私が高校生の頃、こんな冒険なんかは無縁だったし、望んでもいなかったし、結構無味乾燥なのですが、それでも、何年か経って、学生の頃を思い出すことがあると、結構輝かしい青春時代だったりして、だからこそ、いろんな題材にしている時期なんだろうけど、そういう意味で、学園物は永遠の題材といえるのでしょう。ジュブナイルに限らず、高校生や中学生というのは、どうして題材になるのだろう。それは、そのころが青春だからだというのでしょう。

『弁天女子寮攻防戦』、『パーフェクト・ラブレター』、『騎馬っていこう』は短編集です。それだけに、学園という雰囲気を気楽な感じで書かれているので、ドタバタな青春を感じることが出来ます。他の作者にジュブナイル小説から漫画になったり、アニメになったりといわゆるヒットしている人がいます。『フルメタル・パニック』や『リアルバウト・ハイスクール』の作者が短編に名を連ねています。
また、蓬莱学園は、いろんなメディアにも手を伸ばしていました。PeBMの先駆けになっている、ハガキによるネットワーク(のちITの普及に伴いPeBMを行う)やテーブルトークのルールなど蓬莱学園ワールドは、はまった人なら抜け出せない世界を構築しています。

ネットでは、こんなホームページがあります。のぞいてみるのも悪くないと思います。
メーリングリストもあって、結構盛んです。また、とりあえずここに行けば、大抵の蓬莱学園についての情報は見ることが出来ます。
裏蓬莱学園

2003年2月
紹介したサイトは閉鎖または移転したようで、存在していませんでした。また、現在、新城さんは、特命高校生というTRPGを中心に活動しようとしていましたが、出版社の事情でスムーズに進んでいない様子。(また、別の小説で、蓬莱学園は過去のこととして対談していて、「蓬莱学園の革命1」はこれ以上進まないんじゃないかと思っています)また、蓬莱学園はさすがに、もう読まなくなったということでネットオークションに出品してしまいました。いずれにしろ、蓬莱学園特に、「蓬莱学園の初恋」は私の一時期の確かに青春、あるいは、ジュブナイル小説との蜜月でした。(^<^)

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