福祉法学

目次
序説
日本法の歴史
平和主義
福祉国家の実現を目標

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序説
共同生活を維持して行くためには統一と秩序を与える規律が必要である。それは、道徳・宗教・礼儀・習俗・法である。
習俗とは生活上のしきたりである。それは、いつの間にか人々が自然に定めた決まりである。礼儀・宗教も同じ。これに反することは反社会的になる。・・・社会を前提にした存在。
道徳とは、一般に承認されている行為を規制する規範である。それは社会規範でもある。・・・ある社会でその成員相互間の行為を規制する。
法と道徳の差異
道徳・・・主に人間の内心に関わる。
法・・・人間の外部に関わる。

規範と実効性の関係
道徳・・・実現されなくても規範性は失われない。
法・・・実効性を前提として社会的妥当性を要求される。
道徳には国家的強制がないが法にはある。

法は最小限度の道徳か
法は道徳の中のどうしても守らないといけない部分を抽出したものなので、つまりそれは強制することにつながる。その意味で法は最小限度の道徳といえるかもしれない。しかし、法は道徳に関係の無いものも含まれている。

道徳とはなにか
理想の人間像がありその心に人々は自分を高めないといけない。

法規範の存在
法は、平均的人間を対象にし、その人々の共同関係をどう規律したら最も平和に幸福にできるか、そのためには秩序となる規範が必要になる。そこに法が存在するのである。
実定法
法として現実の強制力があるもので、過去において実施されたものも実定法と言う。しかしここでは、現在行われている法のことをさし、このことを、現行法と言う。
実定法は主に制定法のことを指すが、慣習法や判例も含まれる。
現行法は、社会が変遷するとすぐに変わる性質をもっているので、最上のものとも永久不変なものとも言えない。
自然法
永久不変なものと考え、法の本体は時と所を超越して変わらない永久不変なものであると考える。その正体は、人の心の中にある理性のことである。ホッブス、モンテスキュー、カントらが提唱した。
後にこの思想は軽視されることになるが、ヴィノグラドフの[法の常識」の中で時代と共に内容可変の自然法、歴史に沿った価値を内包する自然法の重要性が唱えられる。これは、ナチスの悪法も実定法なので良いとされた反省がもとであり、自然法のもつ特性、人の理性、善悪の判断を重要視するところが見直されたものである。
民法
市民相互を起立する原則法
自由放任主義経済のころモンテスキューは個人の尊重を唱えるが、これはそのころの経済人を指し、「生まれながらにして自由であり平等である・・・また自分の利益追及のためには他人が害を受けても良い」いう考えである。
法と法則
共通点・行われるべきもの、行われないといけないもの
自然法則・人間の努力に関係無く常に貫徹する。
経済法則・人間の社会のみに通用し、人の努力に関わるが景気変動など人の意識的な努力によってその成果を左右する可能性がないものもある。

法と権力
法が社会でその理想とすることを実現するために権力との結合が必然的である。しかしながら、権力は独善、不公平、不公正に陥り易い。そうすると、法の平和が妨げられる。そのため、法が権力と対立するという、二重構造を含む。
その対立する理念は主に正義と言われる。
正義は人の努力や行為を通してのみ実現されるもので、社会に受け入れられないといけない。
法は権力者の陥り易い恣意をよく制するために又彼らも又従わないといけない法を運用する機構の準備、法の運用するものの権力からの乖離、主観的独善的判断を防ぐために、その判断に客観性を与えるために反対の意見を聞く。それは法という観念、裁判という制度の密接不可分な関係があることを証明している。




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日本法の歴史
ローマ法・・・私法の始まり。私法とは個人主体の法である。
ラテン法、ゲルマン法、イギリス法はローマ法から発展する。
ラテン法はフランス法系、ゲルマン法はドイツ法系に、イギリス法はコモンロー系に発展する。
日本はフランス法系、ドイツ法系、コモンロー系を含む三重構造をしている。
明治維新は封建社会の打破、近代国家の仲間入り、不平等条約の撤廃を目的としている。そのためには、日本の法制度の導入、実績を積む、そして列強と対等にに交渉するためにフランス法系、ドイツ法系の導入。その後、第二次世界大戦での敗戦の後コモンロー系(英米法)が導入された。
英米法とは判例法主義のことである。憲法編
憲法・・・国家の法規範の根本秩序を定める。

実質的意味
実質的に国家の組織の基本法を構成している総称
成文法典の有無は問わない。
1・固有の意味・・・国家の存在を前提にしてその国家という社会の基本をなす法。
国家の地域の範囲、国家構成員の資格、その統治機構、組織。
2・近代的意味・・・国民参政、権力分立、基本的人権の尊重が国家の法秩序の不可欠の内容となっているのを定めた基本法形式的意味
成文法の形式をもって制定されている一つの法典としての憲法

憲法の種別
1・成文憲法・・・成文化された法典の形式をとる。
国の基本法であるがゆえにどの法律よりも変更改正を厳格にし、秩序を恒久化する必要性、市民の基本権の擁護
新たに国家が作られたときその統治体制において権力の限界と根拠とを明文化
2・不文憲法・・・成文の憲法法典として制定されない。

制定手続きにおける分類

改正手続きによる分類
1・硬性憲法・・・普通の法律の改正と異なり、特に慎重かつ厳格な手続きが必要。憲法の継続性、安定性、内容の保護
a・通常の立法機関で手続き要件が加重(議決要件の加重)
b・特別の憲法の会議の設立
c・立法機関と国民投票の方法とを併用。
2・軟性憲法・・・一般法の改正と同様の手続き
この定義は建前としか働かない。軟性憲法もまた硬性憲法の特性を有しているのである。
日本憲法の基本原理
憲法前文
憲法の性格を決定する基本原理であり、改正できないものである。もし、変えると憲法の同一性が失われる。
天皇
国家の象徴であり、象徴とは国旗など抽象的な観念を具体的に表すものである。議員のように国民によって選ばれる代表のことでなく、中立で無色透明な地位で、その地位の根拠は、主権の存ずる日本国民の総意に元ずくである。
皇族の継承
天皇の機能
他の機関が実質的に決定した国事行為を儀礼的、中立的、名目的に行う機能を有する。
内閣の助言と承認は天皇の国事行為が行ううえで必要な効力の要素である。天皇の無答責は内閣の責任が生じる。
国事行為
皇族経済
皇室の財産授受は国会の議決に基づき作成される。
皇室財産の国有移管及皇室費用は予算に計上して、議会の議決を経ること。また、予算が繰り越すことはなく、1年ごとに作成される。
国民の要件
国籍・・・国民の資格は出生により取得
属地主義・・・アメリカ
属人主義・・・日本
取得方法
出生により
帰化
喪失
選択
外国国籍を有する日本人は二重国籍者になり、20才未満のときは20才に達するまで、20才以上は2年未満に一方を選択。
再取得
喪失したものは日本に住みたいとき、法務大臣に届け出る。

権力分立
国家の行政権の作用を、立法、行政、司法の三権に分ける。そうして、その独立と相互の抑制と、均衡により権力の乱用の防止と国民の自由の確保の為である。
ジョン・ロック「国政二論」一般法規の制定と執行の分離
モンテスキュー「法の精神」三権に分け、分掌させる。
アメリカ立法・・・連邦議会、執行・・・大統領、司法・・・裁判所
国会が法律を作成し、大統領に送る。そこで大統領が反対なら拒否権を発動できる。しかし、国会が再度2/3の多数により可決したら、大統領は拒否できない。
日本イギリス型の議院内閣制に立ちながら、アメリカ法型の裁判所の違憲立法審査権を認めている。
三権の機能
国会→内閣:議院内閣制(内閣の成立存続について国会の信任に依存)

内閣→国会:国会の召集、解散、総選挙の公示。天皇の国事行為の要求

国会→裁判所:弾劾裁判の設置。最高裁、下級栽の設置。国民審査の事項
裁判所→国会:違憲法令審査権

内閣→裁判所:最高裁長官の認証(天皇が任命)。そのほかは内閣が任命
裁判所→内閣:内閣、行政機関の命令、規則、処分などの違憲審査権
国会
衆議院の優越(国政の意志決定について滞りを回避)
機能の範囲
議員の身分の喪失
特権
会期
独立の国会の意志をもち、議決に至らなかった議案は次の会期に継続されない。
国政審査権、兼職の禁止など
内閣
裁判所
旧憲法での裁判制度
民事、刑事、行政事件−−−英米法系、行政はフランス法系の範疇
行政権の活動に対する司法権の介入は分立を乱す。とされ、行政の領域における法的紛争の処理は裁判所により処理されないとされていた。
現代の裁判制度
現行法・・・司法権の中に行政裁判を含む。
各特徴
行政裁行政機関は終審として裁判を行うことが出来ないから、その事件に応じ民事か、刑事かのいずれかとして最終的に処理。
民事裁裁判手続きを必ずしも経由しなくてもよい。
私的自治の原則・・・当事者の申し立て
あくまでも当事者の意志により、係属が図られる。私的権利の公権的解決。(弁論主義)
和解、訴えの取り下げ。(処分権主義)
強制執行・・・仮差し押さえ、仮処分
刑事裁必ず裁判手続きを経由しないといけない。
具体的事実が刑罰法規に該当するか、もし該当するならどの程度なのか。それは人の行為に限定される。
刑事手続きが必ず裁判手続きを経るのは、犯罪は時代を越えて存在し必然的であるから。
それを最小限に抑えるため、一般予防及び、特別予防のため刑罰の威嚇をもって行う。それは、そのものの自由あるいは権利を奪うことである。
刑罰は恣意的に行われるのではなく、正当な手続きによる慎重に行われるものである。
手続き面(裁判)、実体法の面(刑罰法規)の確保(類推解釈の禁)
罪刑法定主義・・・遡及処罰の禁、罪刑の法定、罪刑の均衡
統治行為
極めて高度な政治性をもつため、司法の審査になじまない国家行為。(外交、国防など)
最終的判断は国民の政治的判断にゆだねる。
違憲法令審査権
最高裁は一切の法律、命令、規則、処分が憲法に適合するか否かを決定する権限を有する終審裁判所である。
下級裁においても行使し得る権限であるが、違憲とされた法はその事件に関してのみ無効である。とする個別的効力説をとる。




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平和主義

前文
第一段・・・平和主義の確立のための憲法制定
第二段・・・理想主義的な見地から平和主義を強調
第三段・・・普遍的な政治道徳
第九条・・・戦争放棄、戦力の不保持、交戦権の否認
現実との矛盾が生じ、自衛権としての兵力の保持の承認され、自衛隊の設置。これが、問題になり裁判所では、統治行為により判断は下されていない。また、解釈としては
これらは平和主義に対する考えの評価の違いにより異なり、戦争に対する認識の差異でもある。
「国際紛争に関する手段としてはこれを放棄し・・・・・」
武力による平和の均衡は真の平和とは言わず、完全な法規も不安がある。しかし、歴史を見るならば、完全な放棄というのが真の平和である。
法の下の平等
「すべての国民は法の下に平等であり、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は、社会的関係において差別されない。」これは国家によって侵害されない権利。
社会秩序全体の基本的な原則。
平等の内容
相対的平等・・・法の上における等しい扱い。つまり、事実上等しいものを法的にも等しく扱う。
身体的差異があるならそれに応じた取り扱いをし、その際に基づく差別が合理性がないといけない。
1項後段は、例示である。基本的人権の尊重の擁護に関して積極的であることを明記している。
華族などの貴族制度の廃止、栄誉授与の非特権性と一身専属性
選挙について
一票の価値の格差は、1:3の範囲であれば合憲である。もし、違憲であっても事実判決によりその選挙が無効になることが回避できる。
選挙犯罪者に対しては、一般犯罪者よりも厳しく行っても差別にならない。
基本的人権
常に公共の福祉のためにこれを利用する責任がある。
公共の福祉に反しない限り、国政のうえで最大限に尊重される。
つまり、公共の福祉によって基本的人権は制約される。
外国人の人権保障も等しく及ぶ。
国と国民との関係の保障
国民と国民とは間接適用とされている。
基本権の制約も自由もその合理性の上から人民の相互及び国に侵害拘束されない程度に約束される。
比較衡量論・・・二重の基準論
基本権の制約国や公共団体との一般的な支配関係
自由権的基本権
国家権力からの個人の解放
表現、居住、移転、職業、学問の自由。平等保障、思想良心、信教、集会結社の自由等。
国家の意志決定への参加の保障
請願権、賠償請求権、裁判を受ける権利、刑事補償請求権→受益権
社会権的基本権
放任民主主義の資本家の反省
国家の機能が実質的な意味をもつ国民間の自由。そして、平等を目指す国民の福祉への努力。
自由放任資本経済→資本弱者→国の保護を要求
生存権規定の法的性格25条
「すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」
生存権を巡る争い
児童扶養手当の需給がいるか否か。否であった。
教育を受ける権利
「すべての国民は法律の定めるところにより、その能力に応じて等しく教育を受ける権利を有する。」(1項)
「すべての国民は法律の定めるところによりその保護する子女に普通教育を受ける義務を負う。義務教育はこれを無償とする。」(2項)
(1項)・・・教育の機会均等と社会権としての教育を受ける権利を保障する。
(2項)・・・教育を受ける義務及び義務教育の無償を定める。
義務とは、保護する子女をもつ国民と、国家である。
学用品まではただではない。
勤労権
(1項)「すべての国民は勤労の権利を有し、義務を負う。」
1・自由権ではなく、労働能力をもつものに労働の機会が与えられるべき権利があるということ。
2・それがなき場合は、生活を維持するための費用等が与えられるべきことを請求できる。つまり、勤労権を実現するために積極的に国家は努力すべき義務を負う。(職業斡旋など)
(2項)賃金、就業時間、休息その他の勤労時間に関する基準は法律でこれを定める。(労働権の保護)
(3項)児童はこれを酷使してはいけない。
史的反省に立ち、注意的に規定したもの
 勤労権の団結権、団体行動権
「勤労者の団結する権利及び団体交渉及びその他の団体行動する権利はこれを保障する。」(勤労者の地位を高めるため)
国家に対して使用者に対する勤労者の上記の権利の実現のため積極的に取るべきことを義務付けしている。

労働三権とは、団結権、団体交渉権、団体行動権
この権利は、国民相互間による制約がある。
地方自治
「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて法律でこれを定める。」(92条)
自治とは、治めるものと、治められるものが同じであること。
団体自治国家の中における各地域住民の自治の尊重。
住民自治地方公共団体にその地方の行政を行わせ、更に住民が当該組織、及びその運営に参加すること。
地方公共団体事実上住民が経済的文化的に共同生活を営み、社会的基盤が存在し、相当程度の自主立法権、行政権、財産権などの地方自治の基本権的機能を付与された地域団体。
「地方公共団体は法律の定めるところにより、その議事機関と議会を設置する。」
「地方公共団体の長、その議員及びその他の吏員はその住民が直接選挙する。」(93条)
「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する機能を有し、法律の範囲で条例を制定することができる。」(94条)条例制定権地方公共団体が自治立法に基づいて制定する自主法の総称普通地方公共団体、特別地方公共団体(特別区など)の条例は法の範囲内での存在は保障される。
自治事務
機関委任事務・・・地方公共団体の長に委任された国の事務。法律、政令によって地方公共団体の長などに執行される。
(社会福祉サービスなど)
後にこの事務は改正され、団体事務になり国の包括的な事務が地方公共団体の事務になった。
条例の概念
条例地方公共団体が議決
規則長が制定、各行政委員が、制定
国として最低基準を定めているようなときにはその基準を越える条例を制定しても、違反にならない。
財産権、課税権、罰則は、すべて枠内により合理的であれば違憲でない。 日本憲法上の改正手続き
改正は時代に沿うものとして憲法を活性化させる。
1・国会議員による検討と、国民の承認(二重の手続き)
a国会の発議:各議員の2/3以上の承認(議員の定数)
b国民の承認:特別の国民投票、国会の定める選挙により過半数の賛成(総投票数)
c公布は天皇が行う
2・内閣は憲法改正権があるか
a発案権ありb法にはあるが、憲法にはないcすべて否定国会がすべて行うのが妥当である。
3・改正の限界
a改正権力の主体が国民であること。
b民主主義原理であること。
c平和主義原理を排除できない。
d96条の改正はできない。
b公選された議員で組織する議会制度の廃止や、天皇の地位強化ができない。
c全体として憲法の同一性を失わないという条件なら良い。人民の生命を脅かさないのなら、軍備の再設備も承認される。行政編
行政法理論基本権の尊重と社会権の導入




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福祉国家の実現を目標

法律による行政行政は法律に基づき行われるべきである。それは司法により保障される。
法も善法である必要がある。
行政は国家作用の一部門であり、立法、司法に対置する。そして、広い意味で国民の福祉を目的とする。
公益という目的の実現の範囲内において柔軟な行政をするため、各行政庁に裁量権を認めている。
立法行政は一般的抽象な根拠、あるいは基準を法規定に依存し、具体的な内容については命令にゆだねることが多くなってきた。
行政立法は、法規命令に直結しそれは国民の権利義務に関する命令である。法規として、性質をもつものともたない行政規則がある。
執行命令上級の命令規定を執行する。
委任命令個々の法律又は命令による個別的委任に基づく命令。
行政規則法規的性格をもたないが拘束力がある。


行政上の法律関係
行政が一つの組織であるから、法律の執行機関として作用する場合に当然国民とのスキンシップが生じる。その接点として公的な関係をもって特別な法律規律に頼るか、一般市民生活関係によるかのどちらかである。
私法関係契約を公共機関としても私法の関係で処理される。
公法関係公権力の主体(公共の福祉など)と密接な関係で活動するときには、一般の私法関係とは異なった固有の法律を制定する。特別権力関係公共と私人は対等でなければならないが公共の特別の目的を果すためにはその範囲のみ主従関係が生じる。
公法、私法関係を区別する実益と基準・・・法律上の争いを発生したとき公法上時効、強制徴収、行政代執行、国税徴収、法上の優先弁済意見、国税債権
行政行為目的実現のため法の根拠に基づき、公権力の行使が行われる。当然に無効である場合を除き、不服申し立てや訴訟により取り消されるまで適法で、国民を拘束し、相手の意志に反してもその内容を強制的に実現する力を有する。また、一定のときが過ぎると、違法として争えなくなる。
行政庁の行う公法行為
行政手続き申請、行政調査、聴聞、処分決定の公文書の作成、相手個人への通知
分類
法律行為的行政行為・・・意思表示を要請
1・命令的行為市民に特定の義務を命じる。
a下命市民の特定の義務を命じる。
b許可特定の場合に作為、給付の義務の解除
2・形成的行為一方的意思表示により権利が作用
a特許特定の権利、包括的法律関係の設定
b許可第三者の行為の補充(料金の許可など)
c代理第三者の行うべきことを国が代わって行う
準法律行為的行政行為・・一定の精神作用の発現
a確認特定の事実や法関係について争いがあったら公の権威をもって問う。
b公証特定の事実や法関係の存否を証明
c通知特定又は不特定の人に対してある事項について知らせる
d受理願書、届け出などその他人の行為を有効なものとして受領する
行政目的を適切に実現させるためには法が行政行為をする。また、行政庁の自由な判断、すなわち自由裁量を認めるケースが多い。
行政行為
1・覊束行為法律によって束縛された行い
2・裁量行為
a・覊束裁量(法規裁量)何が法の趣旨にあっているかについて行政庁の裁量を認めている。
b・便宜裁量(目的裁量)何が公益に適し行政の目的に合致するかについて、行政庁の裁量が認められている。
行政庁が乱用、逸脱し仮に裁量権を誤っても単に不当な行政行為であり司法審査に服しない。行政上の不服申し立てによって争うことになる。
行政庁の行為に対する救済
請願法請願は違法あるいは不当な行政行為を矯正する手段として利用されるが請願は受理するのみであり、判断あるいは答弁を求めることはできない。
行政不服審査法
行政機関内部の審査手続きを定め、紛争の解決というよりも行政内部の適正運営に主眼。例えば、不利益な行政処分の取り消し、是正の申し立て等である。行政不服審査法は、当事者の費やす労力や時間など少なくすることができる。しかし、これはあくまでも行政庁による自己統制を求めるものである。原則として処分庁の上級庁にたいして行われる。
再審査請求
審査請求を経た後に更に不服申し立てをする法律に規定がある場合
処分のあったことを知った日の翌日から起算して60日以内にする
1、2、3は行政庁が相手方に必ず教示しないといけない。
行政事件訴訟
行政事件は通常の民事事件として扱われる。
1・当事者訴訟当事者間の法律関係を確認処分する訴訟
当事者の一方を被告とする。
公法の法関係に関する訴訟
2・民衆訴訟国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正
3・機関訴訟機関の相互間の存否及び行使に関する紛争についての訴訟 4・抗告訴訟行政行為の公権力の行使について関わる行使について権利利益が侵害されたその行為の不作為の当否を争う訴訟
「処分取り消し」「裁判取り消しの訴え」「無効など確認の訴え」「不作為の違法確認の訴え」
1、4は国民の利益の保護2、3は客観的な法秩序の維持
不服申し立てと行政訴訟の関係
裁判を受ける権利を憲法は保障し、また、行政機関が終審として裁判を行うことができないことから国民は権利救済のために行政訴訟ができる。それは、国民の不利益の是正である。
国家賠償法
「何人も公務員の不法行為(故意又は過失)により、損害賠償を受けたとき法律の定めるところにより国又は、公共団体にその賠償を求めることができる。」(憲法17条)
国がその公務員に対して賠償額を求償できるが、その要件として「公務員に故意、又は重大な過失があったとき」である。公務員とは、形式的のみならず実質的に公務に執行しているすべてのものに当て嵌まる。
*公共営造物の破損による被害・・・過失を含まない
*市営バスの経営・・・私法の適用
*外国人に対する国家賠償・・・相互保障主義
行政機関
外部に表示する権限→行政府
次官、局長→補助機関
「詰問機関」「参与機関」「司法試験委員会」「執行機関」「警察官、収税官吏」「監査機関」「会計検査院」
これらの委員が委任するとき法律上の根拠が必要→決定(授権)代理 社会福祉の行政組織
中心→厚生省、範囲→厚生省設置法、厚生省組織令
社会福祉の部局社会局、児童家庭局、老人保健福祉局→広義の意味
援護局雇用→労働、総務、経済企画庁
都道府県知事の権限
都→民生局道、250万人以上→民生部250万人以下→民生労働部100万人以下→厚生労働部
その他
福祉行政積極的にその国民の生活に関する福祉の増進
作用として、給付行政であり(公園、道路など)であり、このために伴う権力は付随的である。→「文化、福祉国家」



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