フリート

フリート・ウッド・マック(Fleet Wood Mac)

私が、フリートとの出会いは、ラジオ番組で「EVERYWHERE」の一小節が使われていたことから、どんなアーティストなのだろうかと考えて、いつの間にか忘れてしまって行くところから始まりました。キラキラとしたギターのリズムと、リリカルな歌声が妙に印象にありました。ほどなくして、『噂(RUMOURS)』というアルバムがとてもヒットしたグループで、しかも、かなり古くからやっているということで、そのアルバムを聴いたのが、はまっていったきっかけになりました。
このグループは、様々なメンバーチェンジを繰り返し、それでも、グループとしてトップの位置にいるという特異な存在です。ピーターグリーンのいた時代のブルース主体の音作りは、お世辞にもヒットするような曲があったとはいえないのですが、現在でも、フリートといえば、Stevie NicksとLindsey Buckinghamが加入していた時代を指しているように思います。少なくても、その時期が私にとってのフリートです。また、その時代にグループの地位を不動にしたと思われます。
彼らの特徴は、二人の女性ボーカルによるポップ調の歌い分けと、時に見せる、伝統的なロック、ブルース調のロック、または、男性と女性のコーラス、グループ全体での曲などの多彩さにあります。私個人としては、「Chain」のようなグループ全体の曲の持つダイナミックさとか、「Save me」のようなChristine Mc VieとNicksの掛け合いのような曲が好きなのですが、とにかく、80年代を代表するポップ、ロックグループでした。また、長年のキャリアが生む深みを感じさせることができるグループです。
また、歌声としては、Stevie Nicksの少しドスが利いた、しかし、バラードなどに見られる可憐で、少しロリータ的な甘さが混じった声にしびれたものでした。フキフキ "A^^;。彼女の歌う曲は全て好きなのですが、中でもやはり『噂』に収録されている「Dreams」が彼女の歌声の魅力を十分に伝えていると思います。
このフリートの中でも1枚アルバムをあげろといわれれば、迷いながらも、『TANGO IN THE NIGHT』を挙げます。このアルバムは、Stevie NicksとLindsey Buckinghamが加入していた時代の最高傑作といってよく、一つの完成でもあったと思われます。また、このアルバムから何曲もヒットを生み出したので、はじめて聴く人にもそれなりに満足できるアルバムかと思います。その中に、思いでの「EVERYWHERE」も収録されていました。
現在、Stevie NicksとLindsey Buckinghamは、グループから脱退して、昔の売り上げからすれば、かなり落ちてしまい、アルバムの制作もかなり年数がたっても発売されていません。トップとしては走り続けるの難しさと、誰かが抜けることによるグループの建て直しの難しさ、多分、単独では、Stevie NicksもLindsey Buckinghamも売れなかったり、日の目を見ることはなかったかもしれないのに、グループにいることで爆発的な人気になるその作用の不思議さに、つくづく、音楽は相互作用の不思議さに満ちています。

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