ファイティングファンタジー


『ファイティング・ファンタジー』
(S.ジャクソン,創元推理文庫)
【入手困難】

厳密にいえば、ゲームブックではないんだけど、「ソーサリー」や「火吹山の魔法使い」などのゲームブックのルールを使った、初めてやったTRPGのようなものであるので、紹介をしたいと思います。

これは、D&Dは難しく、T&Tがまだ発売されていない時期の作品で、また、TRPGが普及する前の一つの金字塔でした。
というのも、D&DなどのTRPGもちらほらと出てはいたのですが、ゲームブックが全盛の頃で、TRPGは、ゲームブックよりも高度はゲーム、高校生や大学生、または大人のための娯楽として、また、ゲームブックというブームからより深化したしたものとして存在していました。
私は、小学6年生から中学までゲームブックが流行していたので、D&Dは取っつきにくいゲームとして、また、他の人たちにとってもなじみのないものでした。
そこで、この「ファイティングファンタジー」はゲームブックが好きな小学生や中学生にとっても、なじみやすいルールで、TRPGを楽しめるような格好の本であったのです。

うたい文句がいい、
「これまでのゲームブックには限界があった。たとえば怪物がいる部屋に入ったとき、読者は与えられたふたつか三つの選択肢の中から自分の行動を選ばねばならなかったのだ。しかし、「ファイティングファンタジー」はちがう。プレイヤーは、およそ考えつくどんな行動でもとれるのだ。あなたも、「ファイティングファンタジー」で本格的なロールプレイング・ゲームの扉を開いてみよう」

中には、2編のシナリオがあり、イラストや地図があり、ゲームマスターが読む本文と種明かしとプレイヤーの対処の仕方などが丁寧に書かれている。
シナリオはいわゆるダンジョンものであり、仕掛けあり、アイテムをゲットするために部屋を行き来しないと行けないとか、フラグが経つために条件があったりと古典的なものであるが、しかし、その頃は、なんの違和感もなく、熱狂的にプレイをしていました。私は、ゲームマスターであって、プレイヤーになったことはないのですが(今までもプレイヤーになったことはない)、友人達が勝手な行動をしたり、シナリオの中でプレイヤーが死んだり、ミッションを達成するためにフラグが立たなかったりと、いろんな楽しみがありましたが、なにより、プレイヤーもまた熱狂的に試行錯誤をしたり、シナリオに向き合っていたのが、何よりの楽しみでした(純朴な中学生だったのだ)。

その後、T&Tが発売され、ロードス島のリプレイ、和製のTRPGの台頭、そして、ストリーテリングなどへの多様化が進み、ゲームブックはTRPGへと移行していったことは周知の通りです。わたしは、T&Tでもって、社会思想社や創元推理文庫のゲームブックの役割が衰えたのではと思ってしまいます。

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