エンチャンター
関連
『ソーサラー』
『スペルブレーカー』

『エンチャンター』
(白鳥洋一,JICC出版局)
【入手困難】

もともと、アメリカのテキスト形式のパソコンのRPGが元になっているのですが、最初私が手にしたときは、そんなことは全然知らないで、ゲームブックを漁っていたときのその勢いで購入をしました。そして、今でも残っている大好きなシリーズになっています。
この本の特徴は、呪文の使い方が自分の判断で適切に使用しないといけないということです。他のゲームブックでは、たとえば炎の呪文を使うかどうかあらかじめ文中に書いてあり、もし使う場合は、何番に、使わなければ何番にというふうに振り分けられているのがほとんどなのですが、このシリーズは、自分が使いたい場面に遭遇した場合、そのパラグラフの番号と、そのページの右のローマ数字を比較して、たとえば、パラグラフが「200」で、ローマ数字が「3」の場合、「300」となり、使いたい呪文がその番号と一致している場合(300→100へなど)、効果のあったパラグラフへ飛ぶという指示があるということになります。呪文は、獲得しないと分からないように、意味の通じないローマ字で書かれていてます。
また、フラグメントが立ち上がるように、キーコードもあり、例えば、Aをチェックしないと、Bの展開に進むことが出来ないなどの、いわゆるRPGのシステムが導入されています。
しかし、ゲームブックの楽しみとして、その気軽さや身近さがあり、また、結構あべこべな世界背景に、ちょっと、「不思議の国のアリス」というかパラレルワールドのような面白さがあります。神話〜林檎の樹から、現代〜戦争、ガソリンスタンドなど縦横無尽に飛んでいき、迷いながら、勧めていく面白さがあります。それが、悪魔の作り出した世界であったとしても、想像力を十分に刺激する楽しさがあります。また、呪文が思わぬ効果を及ぼしたときなど、その秘匿性と相まって、結構興奮するものがあります。
設定は、魔法使いの見習いとして、父が悪魔に殺され、復讐をするというところから始まります。『ソーサラー』では、一応見習いから普通の魔法使いになって、老師が行方不明になって、少ない手がかりから救い出すもの。『スペルブレーカー』では、魔法使いの頂点に立ち、魔法が使えなくなりつつある国の状況を突き止めるというもの。『ゲド戦記』や『ナルニア物語』などの古典的な展開ですが、そのワンダーワールドの展開に、結構興奮をしました。
なお、絶版に近いシリーズで、これも古本屋などで購入をしないと行けなくなっています。

目次