メモ



あくまでも、薬辞典からのメモ書きである。向精神薬を体系的に勉強するための準備としての知識。こうしたレトリックになれるための演習。

中枢神経作用剤
神経系の大元は、脳の中の大脳と延髄にある。ここから、太い神経の束が派生していて、背骨の裏側に伸びている。この神経の束を脊髄神経といい、これと大脳、延髄を併せて中枢神経という。中枢神経は、末端から送られてくる情報を受け取り、分析、処理して、指令を発するコントロールの働きをする。この中枢神経の障害によって起こる病気は、精神分裂病、鬱病、躁病、躁鬱病、神経症、不眠症、てんかん、パーキンソン病が代表的なものです。中枢神経に働きかけて、これらの病気を治療する薬を中枢神経作用剤という。中枢神経作用剤には、中枢神経の異常な興奮を静める中枢神経抑制剤(強力精神安定剤、抗てんかん薬、パーキンソン病治療剤)と、中枢神経興奮剤(抗鬱剤、精神刺激剤など)がある。

末梢神経作用剤
交感神経と副交感神経の2種類があって、互いに相反する作用によって、内臓の働きを活発にしたり、抑えたりしてバランスを保っている。この末梢神経の障害が起きると、体に様々な異常が起こってくる。この末梢神経の障害を治療する薬を末梢神経作用剤といい、自律神経作用剤、筋弛緩剤、局所麻酔剤などがある。

催眠鎮静剤
バルビツール酸系催眠鎮静剤
大脳皮質、脳幹などの中枢神経全体の働きを抑えて眠りに導く催眠剤。精神的な不安、緊張を鎮める作用もあるので、鎮静剤として使用されることもある。また、けいれんを止める抗けいれん作用や痛みを止める麻酔作用を併せ持つ薬もある。
不眠症の治療、精神的な不安・緊張の解消に使われるが、主に、非バルビツール酸系催眠鎮静剤では効かない場合(内臓の病気や重症の精神病などによる不眠)に一時的に使うのが原則である。
フェノバルビタール、フェノバルビタールナトリウム製剤は、中枢神経に強力に作用し、催眠効果が長時間続くので、朝早く目覚めてしまう老人や神経性疾患などによる不眠の治療に適している。鎮静剤、精神病の治療としても使用される。また、抗けいれん作用もあり、てんかんなどのけいれんを起こす病気の治療にも使用される。
ペントバルビタール製剤は、バルビツール酸系催眠鎮静剤のなかでは効果が強力で、熟睡作用があり、効果が現れるのも早い(20〜30分)

非バルビツール酸系催眠鎮静剤
バルビツール酸系催眠鎮静剤に比べて弱いが、薬物依存に陥る危険が少ない薬。不眠症治療の他麻酔の際の補助薬として使うこともある。また、筋肉の緊張を和らげるためや、神経症、精神分裂病の人の不眠の治療に用いられる。
非バルビツール酸系催眠鎮静剤の代表的な製剤がベンゾジアゼピン系催眠鎮静剤で、自然な入眠効果を発揮し、薬物依存に陥ることが少なく、副作用の少ない安全性の高い薬で、睡眠剤の中でもよく使用されています
中でも中心的な製剤であるニトラゼパム製剤は、けいれんを止める作用もあり、てんかんの治療にも使用されます。
塩酸リルマザホン製剤は、作用時間が比較的短いため翌日に効果が残らない。また、呼吸器系に対する影響が少ないため老齢者にも安全な薬。
ロルメタゼパム製剤は催眠効果は強力ですが、排泄が早いため長期に使用しても体内に蓄積することのない、安全性の高い薬。
バッシフローラエキス製剤は異常な興奮や不安を鎮めるのにも使われる。
プロチゾラム製剤、ペルラピン製剤は、睡眠持続時間が長く、翌日ふらつきなどが残らないことから、老人性不眠症や神経症の不眠の治療に適している。

向精神剤
強力精神安定剤
脳・脊髄といった中枢神経系の異常な興奮を静め、幻覚、妄想、不安などを解決する薬。多様な薬があり、精神分裂病の治療に使う、鬱病の治療効果をあわせもつ薬。躁病、初老期痴呆、老年痴呆、神経症に伴う不安・緊張・焦り・不眠の解消に効く薬もある。同時に、精神活動の低下した状態を活性化する作用もある。
スルピリド製剤は、同時に胃腸・十二指腸潰瘍の治療剤としても使われる。
この薬は、他にもいろいろな作用があり、そのため副作用の多様である。副作用を出来るだけ避けるために、抗不安剤、催眠・鎮静剤、抗うつ剤などを併用して、少量で効果を高めるようにすることが多い。
フェノチアジン系製剤は、悪心・嘔吐やしゃっくりの治療に使用される
ブチロフェノン系製剤は、てんかんの治療にも使用される。
オキシプルチン製剤は、最近では鬱病にも使用される。
カルピプラミン製剤、塩酸クロカプラミン製剤などは、慢性的な分裂病の治療に適している。

躁鬱病治療剤
鬱の治療に使うのが、抗うつ剤で、神経のはたらき(セロトニン)を活発にする物質を増加させて、うつを解決します。不安、焦燥を伴う場合は、抗不安剤や催眠鎮静剤が、情動的な行動に走ったり、自殺の危険がある場合には、強力精神安定剤を使う。服用すると気分が高揚し、不安感や気力の減退が解消される。
他には、夜尿症、胃・十二指腸潰瘍、心身症の治療に用いられることもある。
マレイン酸フルボキサミン製剤は、選択的にセロトニンの再取り込みを阻害する今までにない薬で、副作用の少ない薬である。
躁病の作用はまだよく分かっていないが、神経のはたらきを活発にするアドレナリンという物質を低下させ、活発になりすぎた精神活動を鎮めると考えられます。
塩酸スルトピリド製剤は、精神分裂病の治療にも使用されている。

精神刺激剤
中枢神経を興奮させる作用があり、軽度の鬱病、神経症による鬱状態、ナルコレプシーの治療に使う。

抗不安剤
抗不安剤は、鎮静作用、筋弛緩作用、催眠作用、軽い抗けいれん作用がある。また、脳の視床下部という部位に作用して、自律神経を安定化させる働きもある。こうした作用は、強力精神安定剤と違い、意識や行動をコントロールしている大脳や脳幹には作用しないため、正常な意識や行動を乱すことはない。
不安、緊張焦燥、うつといったような異常な精神状態を改善する作用がある。鎮静作用、筋弛緩作用、催眠作用、抗けいれん作用、自律神経調整作用などの作用を併せ持つ薬もあり、多様に使われることがある。
実際には、神経症(不安神経症、強迫神経症、心気症、隣人症、ヒステリー、心身症(高血圧、胃・十二指腸潰瘍その他)、自律神経失調症のほか、更年期障害、腰痛症、頸肩腕症候群などで起こった精神的な不安、緊張、焦燥、鬱状態、睡眠障害に治療。また、手術前後、麻酔をする前の不安や緊張を解くために役割をすることがある。
抗不安剤の使用目的は、作用の一つである、催眠作用をおこさない程度の少ない量で、不安な精神状態を緩和させ、それによって心因性精神障害や心身症を治療することである。
現在よく使われている製剤には、ベンゾジアゼピン系製剤、チエノジアゼピン系製剤、ヒデロキシジン系製剤などがある。
この中でも、中心的に使用されている製剤は、ベンゾジアゼピン系製剤で、他の製剤は副作用や過敏症状、使用すると持病を悪化させるなどの使用できない条件がある場合に用いられることが多い。
クロルジアゼポキシド製剤は効果は緩和であるが、効果は確実で早く、持続性がある。
ジアゼパム製剤は、クロルジアゼポキシド製剤よりも、4倍強力な効力を持つ。抗不安作用の他、緊張を緩和し、自律神経のはたらきを安定する作用、催眠作用、筋弛緩作用、抗けいれん作用などを持ち、眠気が起こるほかは副作用が少ない。
ジアゼパム製剤よりもさらに5倍強力な薬が、クロラゼブ酸二カリウムで、鬱状態が改善する作用が強く、効果が早く、長続きする。
ロラゼパム製剤は、少量の使用で効果が現れ、筋弛緩作用が弱く、高齢者にも安心な薬。長期間使用を続けても肝臓に負担を与えず、耐性もない。
クロキサゾラム製剤は、作用が強力で、歩行運動失調などは少ないが、高齢者が使用するときは医師などの指示を厳重に守る必要がある。

ヒドロキシジン系抗不安剤
抗不安剤の特性である鎮静作用の他に、抗ヒスタミン作用(かゆみや炎症などのアレルギー症状を起こす化学伝達物質のはたらきを抑える作用)を併せ持つ。
神経症による不安、緊張、抑鬱などの症状を鎮めるほか、蕁麻疹、失神、皮膚炎、皮膚掻痒症などのかゆみを伴う皮膚病の治療にも使われる。また、悪心、嘔吐を防ぐ作用もあり、手術前後の悪心・嘔吐の予防などの目的に使用されることもある。
この薬は、副作用がきわめて少ない、安全性の高い薬であり、一般薬と強いても市販されている。

セロトニン作動性抗不安剤
神経系の伝達物質であるセロトニンの選択的に働きかけて、心身症などの不安、抑鬱、焦燥、恐怖、睡眠障害などの精神状態の改善を改善する、新しい系統の抗不安剤。
いままでのベンゾジアゼピン系製剤(ジアゼパム製剤など)と比べて、薬物依存や眠気、ふらつくなどの副作用が少ないといった特徴がある。

パーキンソン病治療剤
無意識のうちに筋肉を動かす(熱いものをさわったときに咄嗟に引っ込めるとか)は、錐体外路という経路を介して伝えられる。この錐体外路に障害が起こると、動かそうと思わないのに手が振るえる(振戦)、動作が鈍くなる(無動症)、筋肉がこわばる(筋硬直)といったような症状が現れる。このような症状が、一酸化炭素中毒、脳の病気、向精神剤の副作用で起った場合をパーキンソン症候群といい、原因となる病気が現在はっきりと掴めない場合をパーキンソン病という。錐体外路系が正常に維持するためには、神経のはたらきを調整しているアドレナリンとアセチルコリンという物質の量のバランスが取れていることが重要である。パーキンソン病の原因は不明であるが、患者は神経のはたきを活発にするアドレナリンの一種のドパミンという物質が健康な人に比べて10分の1くらいに減少する。
抗ヒスタミン剤、強力精神安定剤、筋弛緩剤が補助薬として併用される。

レボドパ剤とその配合剤
脳内で作られるアドレナリンの一種のドパミンの量を増やす作用がある。パーキンソン病とパーキンソン症候群に起こる振戦、無動症、筋硬直といった症状の治療に使う。
レボドパ製剤は、パーキンソン病治療の代表的な薬で、主症状に早く、強力に改善し、日常生活を正常に行えるように促進する効果がある。
レボドパ配合薬は、レボドパ炭酸脱水酵素(レボドパの作用を弱める酵素)のはたらきを抑え、レボドパの作用を強化する薬を配合している。レボドパ製剤では効果が現れない場合に使用され、薬が脳にだけ作用するようにし、副作用を少なくした薬。
同様に、メシル酸ペルゴリド製剤なども同じ様な作用がある。
塩酸アマンタジン製剤は、パーキンソン症候群の治療に。( A型インフルエンザウイルス感染症にも使用)

塩酸タリペキソール製剤
はじめて非麦角系ドパミンD2受容体作動薬で、脳内に作られるアドレナリンの一種ドパミンのはたらきを活発にする。パーキンソン病で起こる無動、手の震え、筋肉の強張りを治す。

抗コリン系パーキンソン病治療薬
神経の働きを不活発にするアセチルコリンの作用を抑えて、神経の働きを活発にするアドレナリンとのバランスをとって、筋肉の硬直、手指の震え、抑鬱症状といった症状を改善する薬。
パーキンソン病、パーキンソン症候群、ジスキネジア(運動障害)、アカシジア(鎮座不能)等の治療に使われる。抗コリン系パーキンソン病治療剤の代表的製剤が、塩酸トリヘキシフェニジル製剤で、いっぱんにレボドパ剤より効果は劣りますが、便秘、のどの渇き、かすみ目などの副作用が少ない薬。
ビペリデン製剤は、塩酸トリヘキシフェニジル製剤よりも、さらに副作用が少なく、効果の低下しにくい製剤。
塩酸メチキセン製剤は、胃・十二指腸潰瘍、過敏性大腸、胆道系の病気、尿路結石などの治療にも使われる。
ドロキシドパ製剤は、神経の働きを活発にするノルエピネフリンという物質の量を増やす作用のある薬で、パーキンソン病におけるすくみ足や立ちくらみ、シャイドレーガー症候群や家族性アミロイドポリニューロパチーにおける起立性低血圧、失神、立ちくらみなどの治療に使われる。

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