ドロキシドパ droxidopa(JAN) ノルエピネフリン作動性神経機能改善剤 1169i

【組成】
[細]:20%
[カ]:1カプセル中100 mg, 200 mg
ドロキシドパは白色〜淡褐色の結晶又は結晶性の粉末で,におい及び味はない。水に溶けにくく,メタノ−ル, 氷酢酸,エタノ−ル,アセトン,エ−テル又はクロロホルムにほとんど溶けない。希塩酸に溶ける

【適応】
(1)次の疾患におけるすくみ足,立ちくらみの改善:パ−キンソン病(Yahr重症度ステ−ジIII)
(2)次の疾患における起立性低血圧,失神,立ちくらみの改善:シャイドレ−ガ−症候群,家族性アミロイドポリニュ−ロパチ−

【用法】
(1)パ−キンソン病:1日100 mg,1日1回から始め,隔日に100 mgずつ増量,最適投与量を定め維持量とする(標準維持量1日600 mg,1日3回に分服)(増減)。1日900 m gを超えない
(2)シャイドレ−ガ−症候群,家族性アミロイドポリニュ−ロパチ−:1日200〜300 mgを2〜3回に分服から始め,数日から1週間ごとに1日100 mgずつ 増量,最適投与量を定め維持量とする(標準維持量1日300〜600 mg,3回に分服)(増減)。1日900 mgを超えない

【注意】
(1)一般的注意
(a)パ−キンソン病への適用に当たっては,次の点に十分留意する()Yahr重症度分類でステ−ジIIIと判定された患者である()他剤の治療効果が不 十分で,すくみ足又は立ちくらみが認められる患者にだけ投与を考慮する
(b)少量から開始し観察を十分に行い慎重に維持量まで増量する。ただし,その他の抗パ −キンソン剤,昇圧剤を中止する必要はない
(c)過度の昇圧反応を起こすことがあるので,過量投与にならないように注意する
(2)禁忌
(a)本剤に対し過敏症の患者
(b)閉塞隅角緑内障の患者
(c)本剤を投与中の患者には,シクロプロパン,又はハロタン等のハロゲン含有吸入麻酔剤を投与しない(相互作用の項参照)(d)イソプレ ナリン等のカテコ−ルアミン製剤を投与中の患者(相互作用の項参照)
(3)次の患者には投与しないことを原則とするが,特に必要とする場合には慎重に投与する
(a)コカイン中毒の患者
(b)心室性頻拍のある患者
(5)相互作用
(a)次の薬剤との併用は避ける()シクロプロパン,又はハロタン等のハロゲン含有吸入麻酔剤(頻脈,心室細動の危険が増大 する)()イソプレナリン等のカテコ−ルアミン製剤(不整脈,場合により心停止を起こすおそれがある)
(b)次の薬剤と併用する場合には,本剤の作用が増強され,血圧の異常上昇を来すことがあるので,慎重に投与する()モノアミン酸化酵素阻害 剤()三環系抗うつ剤(イミプラミン,アミトリプチリン等)()分娩促進剤(オキシト シン,エルゴタミン等)()抗ヒスタミン剤(クロルフェニラミン,トリペレナミン等 )
(c)次の医薬品と併用する場合には,本剤の作用が減弱される可能性があるので,慎重に投与する:レセルピン誘導体(脳内ノルエピネフリン,ドパミンを減少させ る)
(d)レボドパ,アマンタジン等の作用を増強することがある
(e)フェノチアジン系トランキライザ−,ブチロフェノン系トランキライザ−との併用により本剤の 作用が減弱することがある
(6)副作用
(a)Syndrome malin:高熱,意識障害,高度の筋硬直,不随意運動,血清CPKの上昇等が現れることがあるので,このような場合に は,投与開始初期の場合は中止し,また,継続投与中の用量変更・中止時の場合は いったんもとの投与量に戻した後慎重に漸減し,体冷却,水分補給等の適切な処置 を行う
(b)精神神経系:ときに幻覚,妄想,夜間せん妄,不随意運動,神経過敏(いらいら感,焦燥感,興奮等),不安,抑うつ,精神症状の増悪,悪夢,パ−キンソン症状の 増悪,感情失禁,振戦,すくみ,固縮,言語障害の悪化,知覚異常が現れることがある ので,このような症状が現れた場合には,減量又は休薬するなど適切な処置を行う。 また,ときに頭痛・頭重感,めまい,不眠,頭がぼ−っとする,眠気が現れることが ある

【作用】
(1)薬効薬理
(a)ノルエピネフリン前駆体作用:生体内に広く存在する芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素により直接l-ノルエピネフリンに変換
(b)パ−キンソン病におけるすくみ足,立ちくらみの改善()血液脳関門を通過し脳内に移行。脳内ノルエ ピネフリン枯渇動物で,低下した脳内ノルエピネフリン量を回復,ノルエピネフリ ン作動性神経の機能低下に伴う諸症状を回復(マウス,ラット,ネコ)()モルモット 前脳部ホモジネ−ト又はヒト大脳皮質シナプトゾ−ム(in vitro)では,神経終末 部へ取り込まれる。脳切片(in vitro)及び生体標本では,神経終末部からのノル エピネフリン遊離を促進(モルモット)
(c)シャイドレ−ガ−症候群及び家族性アミロイドポリニュ−ロパチ−における起立性低血圧等の改善()6-ヒドロキシドパ ミンにより交感神経終末破壊動物で血圧を上昇(ラット)()DSP-4によりノルエピ ネフリン作動性神経終末の選択的破壊動物及びヘキサメトニウムによる自律神経 節遮断動物で,体位変換に伴う起立性低血圧を抑制(ラット)()シャイドレ−ガ− 症候群患者(微小神経電図法)で,体位変換時の筋支配交感神経活動(発射頻度)増 加作用
(a)臨床効果(二重盲検比較試験を含む改善率。[ ]内軽度改善以上):パ −キンソン病(Yahr重症度ステ−ジIII)31.6%(61/193)[73.1%(141/193)],シャイ ドレ−ガ−症候群32.4%(22/68)[69.1%(47/68)],家族性アミロイドポリニュ−ロ パチ−37.9%(11/29)[79.3%(23/29)]。パ−キンソン病とシャイドレ−ガ−症候群 では二重盲検比較試験で有用性が認められている
(b)副作用及び臨床検査値の変動:副作用は21.7%(135/621)に,頭痛・頭重感4%(25件),血圧上昇,嘔気(悪心)各2. 3%(14件),幻覚,食欲不振各2.1%(13件),胃痛(胃部不快感等),めまい(ふらつき等) 各1.8%(11件),動1.6%(10件)等。臨床検査値の異常変動は0.8%(5例)に,GOTの上昇, GPTの上昇各0.6%(4件)(4)非臨床試験(a)毒性()LD50(mg/kg)ICRマウス♂♀:経口 ・皮下>10000,静注>100,SD系ラット:経口>♂♀10000,皮下=♂84♀95,静注= ♂16〜20♀19()特殊毒性

【製品・薬価】
ドプス細粒20 住友製薬 20%1g 227.20

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