ビペリデン biperiden(JAN) 抗パ−キンソン剤 1162

【組成】
[細]:塩酸ビペリデン1% [錠]:1錠中塩酸ビペリデン1 mg,2 mg
[注]:1 アンプル(1 ml)中乳酸ビペリデンとして5 mg。
pH:(アキネトン)4.5 〜5.5 浸透圧比:約1 ビペリデンは白色の結晶性の粉末で,においはないか,又はわずかに特異なにおいがある。クロロホルムに極めて溶けやすく,氷酢酸に溶けやすく,エ−テルにやや溶けやすく,メタノ−ル又はエタノ−ルにやや溶けにくく,水にほとん ど溶けない。融点:112〜115°
塩酸ビペリデンbiperiden hydrochloride(JP)は 白色〜帯褐黄白色の結晶性の粉末である。ギ酸に溶けやすく,水,メタノ−ル又は エタノ−ルに溶けにくく,エ−テルにほとんど溶けない。融点:約270°

【適応】
特発性パ−キンソニズム,その他のパ−キンソニズム(脳炎後,動脈硬化性,中毒性),向精神薬投与によるパ−キンソニズム・ジスキネジア(遅発性を除く)・アカシジア

【用法】
[内]:塩酸ビペリデンとして1回1 mg 1日2回からはじめ,その後漸増し,1日3 〜6 mgを分服(増減) [注]:乳酸ビペリデンとして5〜10 mg筋注(増減)。特殊な場合にだけ同量を5 mgにつき約3分かけて徐々に静注(増減)

【注意】
(1)一般的注意
(a)少量から開始し,観察を十分に行い慎重に維持量まで増量する。 また他剤から本剤に切り換える場合には,他剤を徐々に減量しながら,本剤を増量 するのが原則である
(b)投与中は定期的に隅角検査及び眼圧検査を行うことが望 ましい
(c)眠気,調節障害及び注意力・集中力・反射機能等の低下が起こることが あるので,投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させ ないように注意する
(2)禁忌
(a)緑内障の患者
(b)本剤に対し過敏症の患者
(c)重症 筋無力症の患者
(3)相互作用
(a)次の医薬品との併用により,本剤の作用が増強されることがあるので,これらを併用する場合には慎重に投与する:フェノチアジン系化合物,三環系抗うつ剤,モノアミン酸化酵素阻害 剤,レセルピン誘導体
(b)抗コリン作用を持つ薬剤(フェノチアジン系化合物,三環 系抗うつ剤等)との併用により,腸管麻痺,食欲不振,悪心・嘔吐,著しい便秘,腹部 の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し,麻痺性イレウスに移 行することがあるので,腸管麻痺が現れた場合には中止する。なお,この悪心・嘔 吐はフェノチアジン系化合物等の制吐作用により不顕性化することもあるので, 注意する
(4)副作用
(a)依存性:本剤により気分高揚等が発現したとする報告があり,依存形成につながるおそれがあるので,観察を十分に行い,慎重に投与する
(b)精神神経系:ときに精神錯乱,幻覚,せん妄,不安,嗜眠が現れることがあるので, このような症状が現れた場合には,減量又は休薬するなど適切な処置を行う
(c)消化器:口渇,またときに悪心・嘔吐,便秘,食欲不振,口内炎,胃部不快感,下痢等が現れることがある

【作用】
(1)薬効薬理
(a)抗振戦作用:マウス腹腔内投与によるED50(mg/kg)は,ハルミン投 与による振戦に対し10.3(アトロピン28.3),トレモリン投与による振戦に対し2.7 (プロメタジン5.4)。対照薬よりも強い
(b)抗硬直作用:レセルピン投与によるラットの筋の緊張性活性(筋電図)は5 mg/kg静注によりレセルピン硬直を抑制し,α 及びγ反射活性を正常位に回復
(c)抗カタレプシ−作用:ラットのペルフェナジン投与によるカタレプシ−に2 mg/kg腹腔内前投与で,投与1時間後に80%以上抑制,作用はトリヘキシフェニジルと同等。ラットのプロクロルペラジン投与によるカ タレプシ−に対するED50(mg/kg)は腹腔内投与で1.8(トリヘキシフェニジル8)
【製品・薬価】
アキネトン細粒 大日本 1%1g 46.70
タスモリン散 吉富 1%1g 38.90
ビカモ−ル錠 三井 2mg1錠 6.40

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