アモキサピン amoxapine(JAN) 三環系抗うつ剤 1179i
【組成】
[細]:10% [カ]:1カプセル中10 mg,25 mg,50 mg アモキサピンは白 色〜淡黄白色の結晶又は結晶性の粉末で,においはないか又はわずかに特異なにおいがある。クロロホルム,ジクロルメタン又は氷酢酸に溶けやすく,メタノ−ルにやや溶けにくく,エタノ−ル,アセトン,酢酸エチル,エ−テル,ベンゼン又はイソプロパノ−ルに溶けにくく,水にほとんど溶けない。融点:178〜182°
【適応】
うつ病・うつ状態
【用法】
1日25〜75 mgを1〜数回に分服。効果不十分と判断される場合には1日150 mg,症状が特に重篤な場合には1日300 mgまで増量することもある
【注意】
(1)一般的注意:眠気,注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので,投与中の患者には,自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意する
(2)禁忌
- (a)緑内障のある患者(抗コリン作用があるため)
- (b)三環系抗うつ剤に対し過敏症の患者
- (c)心筋梗塞の回復初期の患者
- (d)モノアミン酸化酵素阻害剤の投与を受けている患者(発汗,不穏,全身けいれん,異常高熱,昏睡等が現れることがある)(相互作用の項参照)
(3)慎重投与
- (a)排尿困難又は眼内圧亢進等のある患者(抗コリン作用があるため)
- (b)心不全・心筋梗塞・狭心症・不整脈(発作性頻拍・刺激伝導障害等)等の心疾患のある患者又は甲状腺機能亢進症の患者(循環器系に影響を及ぼすことがある)
- (c)てんかん等のけいれん性疾患又はこれらの既往歴のある患者(けいれんを起こすことがある)
- (d)燥うつ病患者(燥転,自殺企図が現れることがある)
- (e)脳の器質障害又は精神分裂病の素因のある患者(精神症状が増悪されることがある)
- (f)小児又は高齢者
(4)相互作用
- (a)モノアミン酸化酵素阻害剤との併用により,発汗,不穏,全身けいれん,異常高熱,昏睡等が現れることがあるので,併用を避ける。なお,モノアミン酸化酵素阻害剤の投与を受けた患者に本剤を投与する場合には,少なくとも2週間の間隔をおき,また,本剤からモノアミン酸化酵素阻害剤に切り換えるときには,2〜3日間の間隔をおくことが望ましい
- (b)アルコ−ル摂取及び次の医薬品との併用により,本剤の作用が増強されることがあるので,これらを併用する場合には,慎重に投与する:抗コリン作動薬,エピネフリン作動薬,中枢神経抑制剤(バルビツ−ル酸誘導体等),シメチジン
- (c)降圧剤の作用を減弱することがあるので,併用する場合には,観察を十分に行い,慎重に投与する
(5)副作用
- (a)Syndrome malin:無動緘黙(かんもく),強度の筋強剛,えん下困難,頻脈,血圧の変動,発汗等が発現し,それに引き続き発熱がみられる場合は,中止し,体冷却,水分補給等の全身管理と共に適切な処置を行う。本症発症時には,白血球の増加や血清CPKの上昇がみられることが多く,また,ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお,他の三環系抗うつ剤の投与中,高熱が持続し,意識障害,呼吸困難,循環虚脱,脱水症状,急性腎不全へと移行し,死亡した例が報告されている
- (b)循環器:ときに血圧降下,血圧上昇,頻脈,動悸,不整脈,心ブロック,心発作等が現れることがある
- (c)精神神経系:振戦等のパ−キンソン症状,アカシジア(静座不能)等の錐体外路症状,幻覚,せん妄,不
- 眠,耳鳴,眠気等が現れることがある。また,ときにけいれん,燥転,四肢の知覚異常,運動失調,構音障害,知覚異常,頭痛・頭重,興奮,精神錯乱,不安,焦燥等が現れることがあるので,このような症状が現れた場合には,減量又は休薬等適切な処置を行う
- (d)抗コリン作用:口渇,排尿困難・乏尿,眼内圧亢進,視調節障害,便秘,鼻閉等が現れることがあるので,観察を十分に行い,このような症状が現れた場合には,中止する
- (e)過敏症:顔・舌部の浮腫,発疹,紅斑,掻痒等が現れることがあるので,このような症状が現れた場合には,中止するなど適切な処置を行う
- (f)血液:無顆粒球症,白血球減少等の血液障害が現れることがあるので,定期的に検査を行うなど観察を十分に行い,異常(前駆症状として発熱,咽頭痛,インフルエンザ様症状等が現れる場合もある)が認められた場合には中止するなど適切な処置を行う
- (g)肝臓:まれに黄疸等の肝障害が現れることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には中止するなど適切な処置を行う
- (h)消化器:まれに腸管麻痺,食欲不振,悪心,嘔吐,著しい便秘,腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し,麻痺性イレウスに移行することがあるので,腸管麻痺が現れた場合には中止する。なお,この悪心,嘔吐は,本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意する。また,悪心,嘔吐,食欲不振,下痢,味覚異常等が,まれに胃部不快感,胃痛・腹痛,口内不快感,口内炎等が現れることがある
- (i)内分泌系:類似化合物(アミトリプチリン)で,低ナトリウム血症,低浸透圧血症,尿中ナトリウム排泄の増加,高張尿,けいれん,意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)が現れることが報告されている。また,まれに月経異常が現れることがある
- (j)長期投与:まれに遅発性ジスキネジア(口周部等の不随意運動)が現れることがあるので,このような症状が現れた場合には中止する
- (k)その他:ふらつき,,立ちくらみが現れることがある。また,ときに倦怠感,脱力感,発熱,発汗,頻尿,四肢冷感,頚痛,顔面や身体の違和感が,まれに性欲亢進又は性欲減退が現れることがある
(6)高齢者への投与:高齢者では,起立性低血圧,ふらつき,抗コリン作用による口渇,排尿因難,便秘,眼内圧亢進等が現れやすいので,用量から開始するとともに,患者の状態を観察しながら,慎重に投与する
(7)妊婦・授乳婦への投与- (a)三環系抗うつ剤には動物実験で催奇形作用が報告されているものがあるので,妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にだけ投与する
- (b)動物実験で母乳中への移行がみられるので,授乳中の婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にだけ投与する
(8)その他:動物実験で,内分泌系に対する影響がみられ,雌性動物で,乳腺小葉-腺房の発達が起こるとの報告がある
(9)室温保存
(10)規制等:劇指要
【作用】
薬効薬理:うつ病・うつ状態に対する作用機序の一つとして,脳神経細胞への遊離カテコ−ルアミンの再取り込みを阻害することにより,シナプスにおけるカテコ−ルアミンの濃度を上昇させることが挙げられる
【製品・薬価】
アモキサン細粒10% レダリ−-武田 10%1g 63.20