a-ha A-HA
このグループは、私の洋楽に引き入れるきっかけだった。「テ〜〜ク・オ〜〜ン・ミ〜〜」のフレーズで有名な「take on me」はその当時誰もが知っている曲で、その頃ミュージックビデオというかプロモーションビデオがそんなに凝った物でなかったときに、アニメを入れたり、ストーリー性を持った作りが際だっていて、ビジュアル的であると揶揄されることもあったけど、とにかく、かっこよかった。また、ヒットUSAとかではヘビーメタルやハードロックなどが全盛期で、ボン・ジョビとかホワイトスネークなどが流行っていた時期に、ノルウェー出身のヨーロピアンでありながら、すれていなくて、しかもモートンの伸びやかなハスキーボイスとルックスに、しびれた女性も多かったのです。ハードロックとかしびれたというあたりは、今はあまり使わない若者言葉の死語かもしれませんが…
クリストファークロスのあたりで書いたのだけど、あまりコテコテの売れ線のハードロックとかあまり聞かずに、AORとかブラコン(ブラック・コンテンポラリー)を聞いていた時期(あるいは、A-HAの影響からか)、いわゆる牧歌的なポップス志向だったこともあって、上記のような、異色でありながら、その伸びやかな歌声とその当時の電子音に私はやられました。
このA-HAは中学校に入ったあたりから出会い、そのせいで、日本のポップス(その頃は、J-POPとかの呼び名はなかった。強いていえば、邦楽であった)を聞かずに傾斜していった。また、CDなんていうものもなく、ダブルカセットラジカセの時代で、その頃は、小遣いをミュージックカセットにつぎ込んでいました。A-HAは、いつでるのかと毎週のようにレコード屋に行ってチェックする程の入れ込みでした。その中でも、よく聞き込んだのは、当然1stアルバムの「ハンティング・ハイ・アンド・ロウ」でした。その後に出した「スカウンドレル・ディズ」では映画「007」の主題歌を歌ったりとノリノリで、「スティ・オン・ディーズ・ロード」では、ピークに達しました。その音楽性も、はじめはキャッチャーでどちらかというと軽やかな感じだったが、徐々にノルウェーの音楽性(どんなのかはよく分からない)を出そうと、徐々に深みとアコースティック風になっていきます。もともと、モートンの歌声は、透明感があって、深くて、伸びやかなので、キャッチャーなのよりも、アカペラでしっとり歌っても全然問題ないくらいにすごい歌声だと今でも思う。
最近は、小休止ながらゆっくりと作っていて、上記の3作から現在は「Lifeline」(2002)まで6作まで地道に活動している。日本では、デビューしてから、せいぜい5年ぐらいしかみんなの意識に残っていなかったかもしれないけれど、久しぶりに、新譜と「ベストアルバム」(初期の4作)を並べて聞いてみた。色あせるところか、その当時のクオリティを差し引いても、今のポップスと何ら遜色のない出来映えに、懐かしさ半分、嬉しさ半分をかみしめています。特に、hunting high and lowのドラマティックな音づくり、the sun always shines on TVの迫力、stay on these roadの切なさ。この当時、「林檎の木」(ゴールドワージー)にはまっていた時期であったため、そのロマンティックな情景と相まって、危ない世界に行きっぱなしだったのでした。
その中でも、お薦めは、まぁ無難にA-HAのベストアルバム「ヘッドライン&デットラインズ」です。とりあえず、その澄んだ歌声、もはや忘れ去られている往年のグループと侮ることなく、一聴することをお薦めします (2004.4.26)

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