ケルト表紙
ケルト(ケルティス)Keltis

 ドイツ・ボードゲーム界では無冠の帝王といわれていた、クニツィーアの初のドイツゲーム大賞受賞作(2008)。
 クニツィーアはわりと好きで、クーハンデルとかメディチなど「競り」をモチーフにしたゲームを私は良く集めているかな。また、頭脳一直線などの記号だけで並べていくのも手軽に遊べる。
 クニツィーアの特徴は、ほとんど言語に依存しないで遊べると言うこと。誰でも分かる普遍的な記号や数字を組み合わせてカウントしていったり、ジレンマを楽しむ。ドイツゲーム界ではクニツィーアがデザインする、ゲームに内在するジレンマのことを、クニツィーア・ジレンマと固有名詞が冠されるほどのもの。

 ケルトは、最近までやった事がなかったけど、ロストシティの進化版と言われている。確かロストシティはカウントが面倒くさいのに比べて、ケルトはより洗練されて、簡便化されているなぁと思う。が、勝利条件がロストシティとは違うような…
ケルトボード
ゲームの仕組みは、

1.カードは5色、それぞれ0〜10が各2枚ある。そして、対応する色のマス目が-4〜10ある。
2.手札は、8枚、手番には、カードを1枚プレイするか捨てるかして1枚補充する。
ケルトコマ
3.カードをプレイした場合には、対応する色の自分のコマを1マス進める。なお、プレイする場合には、自分の前に色別に分けて表にしておきます。
ケルト並べ方
  3-2.プレイするカードは、色別に昇順または降順に並んでいる必要がある。つまり、2の次に8をプレイしたら、その色の7以下はプレイできない。また、8の次に2をプレイしてしまったら、3以上のカードはプレイできない。
  3-3.同じ数字であれば出すことは出来る。例えば、8の次にまた8を置いてコマを進めることが出来る。
ケルトコマ
4.カードを捨てる場合には、表にして色別の表向きの山に捨てる。補充は山札からまたは捨て札の山から1枚補充する。
5.ボード上のマスの一部にはランダムに3種類のタイルのいずれかが置かれている。
ケルトアイコン
 a.最初にそのマスに入ったプレーヤーが獲得できる得点。
 b.最初にそのマスに入ったプレーヤーが獲得できる石のタイル。このタイルをゲーム終了時に1枚も持っていないと‐4点になるが、2枚以上持っているとプラス点になる。
 c.そのマスに入ったら、自分のコマ一つを1歩進めることができるタイル。このタイルだけは、取り除かれることなく、置かれたままになる。
   c-2.他のプレイヤーもそこに来れば自分のコマを一歩進めることが出来る。
   c-3.自分のコマであれば、どれでも一歩進めることが出来る。
6.ゴールエリア(各コースの6/7/10)に少なくても5つのコマが置かれたらゲーム終了となる。
  6-2.10のエリアにコマがあっても、その色のカードを並べることで、他の色のコマを動かすことが出来る。
  6-3.ゲームが終わった時に、自分のコマの位置によりそれぞれ得点が与えられる。スタートしていない色については0点。しかし1?3歩しか進んでいないコマにはマイナス点が与えられる。4歩以上に関しては、それぞれプラスの点が与えられる。

つまり、自分の前に手札を昇順・降順で色毎に並べていき、コマを動かしていき、6/7/10のエリアにコマを動かしていくというモノ。一見、箱庭系で、プランニング中心で他のプレイヤーとの絡みがあまりなさそうだけど、実はそうではない。
他の動向もにらみながらの静かな競争の色合いが強い。

プレイオンノート
 まだ二人でしかやっていないのだけど、だいたいのコツみたいなものが分かる。まず、全部のコマを全て動かすのは無理がある。
 ゲームの終了条件が6/7/10のマスに5つのコマが到達した時点で終了となるためである。ということは、二人でやっても5色*2で10のコマで競うわけだから、3コマを最低でも6/7/10のマス目に置かないと勝てないことになる。
 4人でやる場合は、20コマで、5コマの勝負になるため、2コマをゴールゾーンに進めることが勝利の最低条件となる。
ケルト手札
 といっても始めの手札8枚での状態から、どの色が伸びるのかは誰も予想は出来ない。ゴールゾーンに2〜3コマを導きつつ、出来るだけマイナスに止まることがないように他のコマを動かしていくとなれば、二人でやっても1色は進めない方が無難である。4人の場合は、2色はのばしつつ、1色は1〜3までは進めるようにするとなると、2色は捨てることになりそうである。
 ロストシティでもそうだけど、全ての色を万遍なく伸ばすとたいがい負けるため、やはり引き算や見切りをはじめにすることが大切である。

 自分のコマを一歩進めるタイルはかなり強力である。とはいえ、これは伸び悩んでいるコマを進めるために活用するよりも、進んでいるコマを伸ばす方が効率がよい。というのも、10のマスまで進めることが出来たコマを一つでも作れば、伸び悩んでいる色の補完が出来るからである。ということで、とりあえず自分のコマを一歩進めるタイルは、ゴールゾーンまで進めるためにコマを伸ばす方がよいと思う。とはいえ、負けそうであれば、マイナス点の減少のために、伸びていないコマを進めるというのも戦術の一つである。
 石は、結構やっかいで、2個以上持っていないとマイナスになってしまう。で、石は9個しかない。二人でやれば、割合余裕で獲得できるけど、3人だとかなりきつくなり、4人だと獲得できないことも覚悟の上で進めていく必要がありそうである。
 というのも、コースタイルは5色の10のマスには5つ並べられる。10のマスまで到達できるのは、多くて2コマであるため石の獲得はかなり難しくなる。ということは、仮に石のタイルが10のマスに2枚置かれると、コース途中には7つしか置かれない事になり、獲得は狭き門となる。
 3人で仲良く2つずつでも、一つしか余らないし、4人だと、マイナスは必ず一人出ることになる。自分が伸びそうな色が他のプレイヤーとバッティングすれば、先んじたプレイヤーが仮にそのコースにあった石を二つ取得すれば、他での挽回は難しくなると言える。
 カードの並べ方の戦術としては、一般論でしかないが、昇順であれば低い数から、降順であれば高い数から。9マスあり、0〜10まで各2枚ずつあることから、最高20枚並べることが出来る。最低のゴールゾーンには7マス進めないといけない。よって、手札をみて、昇順であれば、8ではかなり無理であり8/8/9/9/10/10、降順では2ではかなり無理である。確率的には、2枚ずつ入手することは困難であるため、昇順では4から、4/5/6/7/8/9/10の間に1枚は2枚のカードが手札にあることが条件になろう。降順では、6/5/4/3/2/1/0である。
 もっとも一歩進めるタイルなどを使って伸び悩んでいるコマを進めることが出来るので、昇順では3から、降順では7からでも伸びていくかと思われる。
 あとコマを進めずに手札を捨てて、他の色のカードを取得する方法がある。これは、後半に行くに従ってあり得ることである。進めようとしていたマスのコマが予想以上に進めずに、並べることが出来ないカードが貯まっていく事が起こるためである。
 カードの圧縮をするためにも、もし他のプレイヤーが捨てたカードが自分にとって必要なカードであれば、出来るだけ取得するようにするのが望ましい。というのも、カードの取得は、一番上にあるカードしか取得できないためである。
 裏になっている山札を取得する方法もあるが、あまりお勧めできない方法である。これはかなりリスクが高く、効率的でないからである。とはいえ、引きに願いを込めて行った結果うまくいくということも否定は出来ないため、煮詰まってどうしようもない場合は仕方がないといえる。

 いずれにしろ、いろんな考える要素がありながらも、スピード感があり、サクサク進めることが出来る。運の要素もほどよくあり、思考と確率とカードのカウンティングだけでは勝てないゲームといえる。とはいえ、カウンティングが出来れば、その後の確率や効率などを色々考えることが出来るので、それはそれで楽しいと言える。

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