2026.4
アートで福祉が変わる,福祉を変える
アートと福祉の交わるところ(森真理子)
- 文科省と厚労省が2018年に公布した「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律(障害者文化芸術推進法)」の動向などについて論じられている.
- そもそも1981年の国際障害者年,1995年の障害者プランでは障害者の生活の質の向上を目指す施策の一つとして芸術・文化活動の推進が位置づけられていた.その後障害者基本計画においても文化芸術活動の振興が位置づけられてきた.その後,全国障害者芸術文化祭の開催(2001年〜),障害者の芸術活動支援モデル事業の実施(2014〜2016年),2017年には障害者芸術文化活動普及支援事業により全国都道府県に障害者芸術文化活動支援センターを設置.
- 2001年に成立した文化芸術振興基本法,2017年に改正された文化芸術基本法では,社会的包摂の推進や障害者による文化芸術活動の推進が重要な施策として位置づけられた.
- そうした流れの中で議員立法により障害者文化芸術推進法が成立し,基本計画が策定されている.つまり,現場のアート活動がより促進されるように国が必要な財政上の措置を行うことや,地方公共団体においても地域における推進体制の構築に取り組むことが明記されている.
- 2026年は第二期計画期間の4年目にあたり,報告書が策定されている.相談の内容としては鑑賞に関する相談が増加しており,映画館や文化施設をどのように利用できるかという合理的配慮に関する相談.それまで障害者当事者や家族が中心であったが,文化施設や医療機関,企業からの相談など相談属性が広がっている.
- アートの効用として,できる・出来ないという二元論では無く,価値の多様性を可視化するアートの役割は福祉が本来的に思考してきた,排除を前提とせず誰もが人間らしく,良く生きることを支えようとする包摂的な理念と親和性が高い.
- アート活動を通じて支援対象者が支援される立場から表現する主体として立ち上がる.関係性の質を変える契機になる.逆に福祉対象者がアートに影響を与えることもある.
福井弘教(2023)「障害者アートにみる「福祉と芸術」政策との関連」『地域活性研究』19(1),265-274 https://cir.nii.ac.jp/crid/1390303932781627264"
土田耕司(2022)「知的障害者アートの現状と課題に関する一考察 ─ 障害者福祉の支援者の視点から ─」『就実教育実践研究』15,11−19 https://cir.nii.ac.jp/crid/1050292240210007936