2024.7
認知症とともに
認知症とともに希望のある社会にわがまちならではの共生を共創する時代(永田久美子)
- 日本の高齢化率は2025年におおよそ30%,自治体単位では高齢化率はすでに40%越えの地域が増えている.WHOの定義では高齢化率は21%以上を超高齢者化社会とするが日本はすでにそれをはるかに超える.その中で認知症になる人も増え続けてる.
- 2024年に共生社会の実現を推進するための認知症基本法が施行された.その特徴は,①成立過程において本人が参画し,対話を積み上げながら作り上げられた.②認知症対策を越え,共生社会を目指している.③目的の照準は共生社会,予防は手段であること.2019年の認知症施策推進大綱では共生と予防を車の両輪としていたが,基本法では上記の通りとなった.④ともに生きる活力ある社会というメッセージ性.認知症という症状にばかり目を行き,支援する/される立場を越えた関係性の重視.
- ①もっとも重要なのは基本的人権であり,本人があたりまえに暮らすことである.従来は認知症の人を尊重しますと専門職などが主体で語られることが多いが,この法律は本人主語で明示されたこと.②認知症観の転換〜これまで認知症の人は怖い,何も出来ない,なったらおしまいというものではなく,認知症になっても本人の個性と能力を秘めた個人であり,地域のかけがえのない一員であること.③認知症バリアフリーを本人とともに作り上げること.④本人の意向の尊重が鍵であること.⑤分野の縦割りを超えて統合すること.⑥自治体の計画を自由度を高くすること.
- 自治体によっては共生社会を進めているところ,進めていないところの格差が生まれている.こうした共生社会はいきなり実現する物では無く,日々の中で本人とその地域で暮らす様々な人との小さな積み上げにより築かれていく.
認知症の人の暮らし,財産管理にも大切な意思決定支援(上林里佳)
- 意思決定支援とは意思決定能力の有無やその程度を確認するかどうかとその十分な準備を行うことである.準備とは人選,関わり方,環境やその他の注意点などを適切に行うことである.また,医療同意能力の評価としてあるMacCAT-Tという本構造化面接法があり,理解力,認識力,選択を表明する能力の一つでも不足している場合は,意思決定能力は不十分と見なされている.
- 財産管理については,成年後見制度,金融機関との協力,金融機関の中にはシニア対応銀行実務コースという資格試験がある.その他,認知症対象の金融商品や保険などがある.そして地域で認知症高齢者,家族をも守り支える多職種連携が大切である.
認知症の人を支える(IPE/IPW(多職種連携教育/実践))(大塚真理子)
- WHOは保健医療福祉の専門職教育に連携教育を取り入れ,実践することでシステムが強化され,市民の保健医療福祉サービスが改善するという考え方を取り入れた(IPE,IPW).
- 複数の領域の専門職が患者とその家族のためにそれぞれの知識と技術を提供し合い,ともに学び合いながら共通の目的の達成を目指して一緒に行う援助活動.ここには当事者中心,携わる専門職の自立性と専門職観の尊重し合うパートナーシップが示されている.この考えが日本に導入されたのは2000年頃である.
- こうした考えで認知症の方へ切れ目の無いサービス提供を実現することを目的にしている.これは基本法にも明記されている.→認知症連携ケア
- IPWを阻害する要因に本人の意志が尊重されない,職種間で対等に話し合えないなどがある.
参考文献
共生社会の実現を推進するための認知症基本法
https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC1000000065
大塚真理子
永田久美子