2023.9
福祉と人権ー利用者と職員の人権を守るために
社会福祉における人権と価値の位置づけー倫理的ジレンマと課題への対処を巡って(和気純子)
- 社会福祉実践は価値,知識,技術を構成要素として成り立っており,その中でも価値はあるべき姿の実現に向けて最適なものを選別し,選択する際の道しるべとなる基盤的な要素である.
- この判断基準の根拠となる基準があり,それが専門職倫理と言われ,その行動を具体的に示したものが行動規範である.この行動規範は,専門職団体によって明文化され構成員によって共有される→倫理綱領.
- この倫理綱領は時代によって変わり,普遍では無い.より普遍的なものとしてソーシャルワーカーの倫理綱領があり,人間の尊厳,人権,社会正義,集団的責任,多様性の尊重,全人的存在がある(2020年の日本の改定).
- しかしながら実践する上でこの倫理と対立することがある.それが倫理的ジレンマである.そのジレンマを生むものとして,市場主義,消費者主義,財政管理統制主義,権威主義,脱専門職化の進展があると指摘されている.その一方で利用者の自己決定の重視や多職種多機関連携の推進によってジレンマを複雑化もさせている.その他,利用者,利用者の家族,所属組織,制度,社会などアクターの不一致や対立からも生まれる.
- 介護老人保険施設の相談員に関する倫理的ジレンマの研究についての紹介→組織が求める対象者とニーズのジレンマでバーンアウトしてしまうことについて.→ケアの効率や利益に追求が優先されていることなど…
- コロナ禍でのSWの倫理的ジレンマについて.行動とか接触のこととか様々な制約があったことなどで本来の業務が出来なかったことなど.
虐待や不適切ケアを巡る課題提起(野澤和弘)
- 障害者施設等での虐待死事件によって社会問題として認知されてまだ日が浅いこと.また虐待と決めつけるにはためらうようなグレーゾーン(不適切対応)が数多あること.そうした小さな芽を放置することで,職員は軽く考えてしまい完成をマヒさせエスカレートさせていく.
- 心に余裕があれば寄り添えるが,忙しくなったりして,見過ごしたり,心に蓋をしてやり過ごすことが続くと,目の前の人権侵害を隠蔽したりしてしまう.
- 先輩の不適切ケアに疑問を持っていても声を上げられなかったり同調圧力によっていわゆる染まっていくこともある.
- 人間として扱われず,身体拘束(薬も含む)によって見守り困難とされている状況.行動障害の他害行為や自傷行為は家族や福祉職員を傷つけ,ストレスを与える.こうした人への適切な対応をすることで地域共生社会の主体として障害者を位置づけようと…
レポートしては
- 高齢者入所施設における人権侵害を起こさないための取り組み
- 地域における権利擁護実践-虐待の早期発見・早期対応は地域の力で
- 精神科医療と人権-長期入院患者の思いを聴くこと
- 保育・教育における子ども憲章を作成して
- ハラスメント予防のための心のケア-お互いが活かし生かされる現場を創るために(面白かった)
参考文献