2022.1
社会福祉法人のこれからー社会福祉事業法施行から70年を機に考える
てい談 社会福祉法人にこの先求められること—セーフティネットたる社会福祉法人の黎明と未来
- 70年という長いスパンで見ると見えてくるものがあると思う.
- 戦後まもなくは救貧政策でセーフティーネットギリギリのところを支えるような福祉だった.その後法制度が整い,1980年代になると福祉の普遍化という言葉が生まれ,セーフティーネットを越える部分のニーズにも対応するようになる.その後1990年代は福祉基盤の加速化,20000年には基礎構造改革(社会福祉法の成立),2016年には社会福祉法が改正され,組織のガバナンスの透明化などをおこなうことが求められた.今後は2040年には高齢者人口が減少する中でどのようにあるべきか.
- 1:福祉3法体制,2:6法体制,そして3:8法体制をへて,4:基礎構造改革による福祉の普遍化,そして5:地域共生社会となる.特に4のあたりから社会福祉法人と福祉施設のあり方が問われるようになってきた.
- 社会事業法(1938年)ごろは福祉施設は3種類で一万人の従事者だったが,現在は60種類あり従事者は一二〇万人である.
- これまでの福祉経営は,手厚い施設整備費補助と措置費による裁量の余地の運営だとし,法人運営と言うより施設管理モデルであり,画一的サービスを行っていると総括した.そこから責任とか自律とか,経営の効率化とか…いわゆる規制緩和の方向で報告書がまとめられているらしい.
- (報告書)平成18年8月 - 社会福祉法人経営研究会
- 現在.社会福祉法人に義務づけられている地域における公益的な取り組みについて,制度外のニーズへの対応として,制度の狭間に陥った人や地域で困っている人に対して支援をするのが社会福祉法人の本旨だと思うが,公益事業への繰り入れの制限は残った.介護,障害分野では拡大されたが,措置し説などではこの状況はあまり変わっていない.
- 基礎構造改革以降,セーフティーネットの部分が広がって支援の対象となる人の幸福追求権が福祉の領域に入ってきたが,どのくらい応えてきたのか.
- 社会福祉法人は第24条においてセーフティーネットの部分のサービス供給を果たすことが役割だった.公益事業は,2016年に24条に2項が追加されたことで法律的に位置づけられたことが大きい.
- 現在が社会福祉法人の現況報告で読むことが出来る.
- 「公」からの支援が十分ではない中でも期待される「民間(私)」としての対応がある.
- 地域に向けて扉を開いてアウトリーチの仕組みを作る.福祉制度や行政に頼らない支援困難ケースが増大している.それに対応するために社会福祉法人が取り組み(変革)の中心となること.また法人が変革の核になるには法人職員に向けた地域共生社会についての研修も必要になってくると思う.
- 2040年問題に対応するため,ニーズの種類や量に対応した社会福祉の資源マップを作る必要があると思われる.「社会福祉法人の基本問題に係る検討報告書」
- 社会福祉法人はまずもってセーフティーネットの役割をしっかりと果たすこと.そして,従来の発想だけ,特定の分野だけでの地検ではこの先厳しくなる.社会福祉法人が地域の資源として機能し,地域の信頼を得られるように,社協や企業,住民参加型の組織などともつながり,地域を変えていく,変革していくこと.
その他,論点では
社会福祉法人はソーシャルワークの視点で取り組んでほしいこと.
権利擁護のどのように向き合うべきか(虐待や不適応対応)
福祉人材における良いサービスを提供するためにはどうするべきか
人材確保について
- 地方自治体と社会福祉法人の関係
- 1951年から1985年までは法人の認可などは厚生大臣,一般的な指導や監督は都道府県が行う二段構えだった.
- 1986年の地方公共団体の執行機関が国の機関として行う事務の整理及び合理化に関する法律により,社会福祉行政のほとんどは地方自治体が国の機関として実施する機関委任事務だったが,それが団体委任になったことで,法人の認可権が都道府県に委任,指導監督と合わせて一元化された.
- 2005年の介護保険法改正によって,市町村の権限が大きくなる.
- 2011年地方分権特例法により法人認可などの所轄庁は原則として市長に,それ以外は知事とされた.
- このような法人認可などの権限の推移は社会福祉が要保護者の公的保護から地域の福祉推進へと発展するに伴い,社会福祉法人が「国の法人=保護の実施者」から「地域の法人=地域福祉の推進主体」へと役割が変わってきている
非営利法人としての法人経営についてであった.
論文リスト