2021.12.
コロナ禍で見えた困窮者課題と支援の方向性
レポート 1 コロナ禍における生活困窮者支援
- 特に特別貸付事業の現状について沖縄の社協からの報告.
- 生活福祉資金貸付事業には3種類ある.①緊急小口資金,②総合支援資金,③総合支援資金の再貸し付け.それに加えてコロナでは特例貸付として①と②の要件を緩めている.
- 特例貸付の再貸付まで利用し終えた世帯を対象とした新型コロナウィルス感染症生活困窮者自立支援資金の支給を始めた.
- 対応の混乱とか貸付がうなぎ登りだったことを報告している.相談支援もそこそこにジャブジャブと貸し付けていた様子も…
レポート2 コロナ禍の住まいの喪失
レポート3 今起きている暴力を止める
- コロナ禍で外出が規制されている中でDVが増加していること.
- また性的虐待も増加していることなど.
てい談 コロナ禍で見えた課題とこれから
- リーマンショックに比べてコロナの場合は,社会に元々あった断層,格差,脆弱さなどが照らし出し,その影響も非常に広い範囲に惜し広がったような感じがする.
- 論点は三つあり,①制度が行き届いていない人たちが想定以上の厚みがあったこと.自営業や単身女性,若者,外国人などに深刻な状況に陥った.②緊急支援体制が制度として脆弱.生活福祉資金が爆発的に増加しているが,これは貸付でありいずれ返さないといけない.その当てはあるのか.③つながりの格差.オンラインの活用がある一方,エッセンシャルワーカーのようなリスキーな仕事もある.
- 非正規雇用の中には最低基準の中で生活している人が予想以上にいた.DVや性被害など多様なことがコロナという閉鎖的な,行動制限の中で出てきた.
- 女性の貧困が顕著であり,女性の就業で多いのが小売りや飲食,宿泊業だが行動制限などで徐々にシフトが減らされるといった形で収入が減少していった.柔軟な働き方が簡単に就業時間が調整され,収入源に追い込まれていた.
- 収入減に対して,雇用調整助成金や持続か給付金,家賃支援給付金などがある.また生活困窮者自立支援法による住居確保給付金や社協の貸付事業も使われた.最悪,生活保護もあるがそれぞれの制度には制限があったり,印象の悪さなどがあり使い勝手が良かったと言えば,そうでもなかった.生活保護の拡大は困るといった印象だった.
- 社会福祉は言ってみれば全てがターゲット政策だが,ターゲットの絞り方とターゲットとされた層が進んで利用するような信頼関係が大事.
- その人が生きていく糧を得ることと働くことを別のものと考えればいい.働かざる者食うべからずという考え方も影響されている.
- 日本は国民皆保険・皆年金という世界的に見れば極めて冒険的なことを成し遂げた.保険料が納められない人には税金を投入して社会保険による低所得者制度を行ってきた.しかし,低所得者制度と生活保護制度には距離があり,十分に機能していない.
- 安定就労層と生活保護対象層との間に落ち込んだ低所得者・不安定就労小へは,リーマンショック後に第二のセーフティネットを挿入した経緯があるが,相談やトレーニングにウエイトが置かれ,所得保障としても住宅保証としても極めて限定されたものだった.
- 生活保護の扶助をバラバラにして,社会保険と一緒に統合したり,整理したりして使い勝手を良い物にするべきであるとする岩田先生の構想が話される.
