2020.2
社会福祉法人の連携・協働
(座談会)これからの社会福祉法人連携・協働のあり方
- 経営基盤の強化(大規模化)を図り,制度の狭間のような福祉活動を社会福祉法人が担ってほしいという動きがある.
- 2016年の社会福祉法人改革では,地域福祉の中心的な担い手として,公益的な取り組みが責務とされることになった.
- しかし,一つの法人だけでは経営的にも厳しいためいろいろな形での連携が求められる.
- 大規模化ありきではなく,他との連携によって柔軟に課題に取り組むことも必要である.大規模化は人材の採用や育成にメリットはあるが…センターの立ち上げなどで,課題の共有を図る.企画毎にグループや委員会を作るなど.ただ,こうした課題に取り組むにはマネージメント力がある人がいないと難しい.
- あるいは,最初から一つの課題(例えば,ひとり暮らしで認知症の影響を受けても本人が望めば地域で暮らし続けるようになる…など)に対していろいろな法人がつながっているケースもある.そこから派生して,多問題家族へのアプローチなど見えてくることもある.
- 施設を地域に開放する取り組みをしていくと,職員のモチベーションも上がるという効果も期待できる.また法人同士の交流も刺激になると言える.小規模な法人では,若い人に興味を持ってもらえないことがあるが,こうしてグループを組むことでより大きな可能性が広がる.
- 国は地域医療連携推進法人を社会福祉法人に重ね合わせようとしている.しかし医療はあくまでも地域での対応となるが,社会福祉は全国規模になり得ること.また医療は営利企業は入れないが,社会福祉連携推進法人には営利企業が含まれることが大きな違い.
- これまで社協と他の施設等の社会福祉法人との接点がなく,連携は社協の仕事でしょと言われていた.しかし,一緒にやっていく中で地域が良くなっていく.また,財源やコストの意識も大事で,公的資金をどのように活用していくのか,引っ張ってくるかも大事な仕事である.
- 確かに大規模法人の方が経営が安定しているが,小規模でもバックオフィス化することで効率化できると思う.小規模法人がうまくつながっていくことで大規模では達成できない柔軟な取り組みができることもある.
- 経営者が福祉を国からの事業分担のように捉えていたら,今までとたいして変わらない.そうではなく,福祉とはその人自身の存在意義の発揮の支援であり,そのために何をなすべきかを捉え直すと,職員は考え出します.経営陣が任せる人がいないと思った途端に流れはストップする.しかし,今は任せられなくても一年後には任せられると人材を育成するべきである.
社会福祉法人の大規模化・運営共同化は何にために行われるのか(藤井賢一郎)
- 2020年の社会福祉法改正に合わせるように,社会福祉法人の大規模化は,国の大きな政策の中で「経営の安定化」『生産性の向上』『経営の合理化・近代化』が国から要請されているのが大きな特徴である.
- どうも社会福祉施設は,同時性,消滅性とかあって,ある程度人員の確保が必要な規模の経済と言うことらしい.しかし,これは法人と言うよりも,サービス拠点とか事業所毎の話しなので,社会福祉法人の大規模化とはあまり関係が無い.
- ただし,業務システムや人材採用や体系的育成などは大規模化や法人本部の確立が求められるためある一定の規模があった方が良い.しかし,経験知が蓄積されるとかはあまり関係ない.むしろ,大規模化は意思決定のスピードや地域毎のきめ細かい対応はマイナスになりかねない.
- 大規模化のメリットは,社会福祉法人のインフラを守る意義がある.中小規模の法人が次世代継承に不安を感じて法人合併をするなど.また大規模であれば財源的な余裕も生まれる可能性があり,その結果,非営利・協働セクターを活性化する意義がある.その事で,制度の狭間の課題に取り組むなどの見える化ができるなどの効果が期待できる.