2019.1
平成の社会福祉と今後の展開
平成の社会福祉の変化とその意義(座談会)
- 平成元年にゴールドプランが策定,平成9年に介護保険法が成立,12年に社会福祉基礎構造改革が,15年,支援費制度,17年に障害者自立支援法が,24年には生活困窮者自立支援法と子育て支援新制度ができている.この平成の30年間は怒濤(どとう)のように制度が出来上がっていった.
- 大きく4点,1:選別主義から普遍主義へ.2:措置から契約へ.3:保護から自立へ.4:国による現金給付から自治体によるサービス給付への流れである.そして,地域共生社会という空間で横と縦を柔軟に構成する社会,また全世代型社会保障というみんなが力を発揮できるような社会への転換が求められている.
- 座談会では昭和から平成の社会福祉の流れがざっと語られているが,割愛する.
- 前半はニーズ主導型の改革が長く続いたが,中盤からは財政主導型の改革が長く続いた.それを乗り越えて利用者中心のサービス提供型となってきたのがこの30年であると思う.
- 社会福祉法人は,措置事業だけをやらせればいいという意見もあったが,最終的には社会福祉法では社会福祉法人は社会福祉事業の「主たる担い手」という役割になった.ただ,介護保険の登場によって民間との競合などでむしろ存在意義を薄めてしまっている.もっと生活困窮者への視点が必要である.
- 改革を阻害する要因として,財政的規制(福祉事業への財源),制度的規制(縦割りとか家族が面倒を見るなど古い価値観),経済的規制(貧困の格差により,サービス利用を控えるなど)が挙げられる.
- サービスの質を上げるように第三者評価を設けた.その一方で人件比率を非常に低く抑えるなど競争元気に煽られて非常に誤った経営に走る例もあった.今後も,複雑な福祉需要に柔軟に対応していくことがより重要になる.
- 機関委任事務から自治事務へ変更になったことで,これまで国の通達通りにやれば良かったことが,自治体の裁量でやりなさいとなり,どう進めていけばいいのか戸惑ったなども古い価値観から転回できなかった事例として上げられている.
- 今後必要である視点として
- 財源の確保を求めるだけではなく,持続可能なまちづくりのために自分たちで地域を作る覚悟.
- 自治体が昭和の制度を越えて,住民の参画を得つつ課題意識を共有していくことこと.
- 幸福の条件が経済的な豊かさだけではなく,人とのつながりによって決まり,自分にとって有意義なつながりを作り出し,あるいは選択できること.
- 地域間の格差,少子化,高齢化,人口減少はあちこちにありインフラから福祉制度の存続なども危機的ではある.世代間の不均衡,孤立化している高齢者が多い地域とそうではないところなど多様性が増している.今後は社協がもっと地域や社会福祉法人を絡めてつないでいくことが求められるのではないか.これからは地域福祉がより重要な役割を担うことになる.
- これからは「制度の狭間」や潜在的なニーズへの対応が求められてくる.また包括性とか…
新年号と言うことで,2ページずつ,社会福祉のこれからを展望すると称して,論点が示されている.
- 全世代型社会保障と社会福祉法人〜社会保障と税の一体改革:URL
- 生活困窮者の自立支援をいかに進めるか〜生活困窮者自立支援法の改正
- 超高齢社会において高齢者をいかに社会で支えるか〜歴史的記述と地域包括ケアシステムについて
- 障害者の地域生活と権利擁護〜差別解消法や虐待防止法の成立の一方で相模原市で起こった19人の障害者殺人事件まで.地域移行に言及.
- 子ども・子育て新システムは子育て家庭を支えられるのか〜子ども・子育て支援法:URL
- 社会的養護における子どものケアの在り方について〜社会的養護とは,戦災孤児の保護をシステム化したもので収容保護をその基盤としてきた→2017年に「新しい社会的養護ビジョン」:PDFが示された.
- 地域共生社会の実現に向けた地域福祉ガバナンスの構築〜社会的孤立とか制度のはざまとか…
- はたらきやすい福祉現場を目指すために〜2025年の介護人材の需給ギャップは37.7万人と言われている.
- 社会福祉施設長の姿勢と役割〜社会福祉法人アクションプラン2020:URL
- 新時代には,災害福祉の一般施策化で社会免疫を高めよ〜地域アセスメントの重要性など