2018.1
地域とつながる就労支援
(対談)町民全てが生涯現役を実践する事業への挑戦
- 藤里町の社会福祉協議会の取り組み,ひきこもりの人へのアウトリーチとか地域の活性化について.そして,今度は,「町民全てが生涯現役を実践する事業」:PDFをはじめようとしている.その概要について.
- 地方創生は,報道されているのは能力の高い人たちが考えるもので,障害者や高齢者などはその恩恵を受ける人という位置づけになっている.しかし,本来,障害者や高齢者が地方を創生する側に廻らないと,本当の意味での地域の活性化はできない.
- 人材バンクを作って,そこでどのような形態で働くのかをあらかじめ登録してもらう.月8万以上で無いと働かない,月に数回なら…お金よりも参加中心で等…そこに場の提供として,山菜などの下処理から調理などその都度依頼するような形を取っている.
- 福祉職員はつなぎ役として,あるいはコーディネーターとして参加者やその人たちの特性に合わせた職の斡旋などを行っている.
- 最近はネットワーク症候群という言葉があるように,協議会やネットワークばかりたくさんできて,忙しいのに成果があげられないケースも散見されている.
- コレまで若者と支援として,福祉拠点こみっとでひきこもりや不就労,社会復帰視線,また求職者支援訓練事業や,人材バンクなどをやってきたがミスマッチなどが起こっている.
- 地域はどんどんとニーズを変えていき,旧来の福祉サービスは通用できなくなっている.最近は,多職種連携と言うよりも異職種連携の方が重要で,産業を新しく作るとか支援することが求められている.そして,弱者と言われている人たちが,そうした人たちこそが,産業を支援していく,作り出していくようにしていかないといけない.福祉の範囲だけで行う弱者支援だったのが,方法も活躍の仕方もいろいろ選べる時代になったと思うと,現場の人もうれしいはず.
農福+α連携による「里まち」づくり(濱田健司)
- 農福連携は最近よく聞かれるキーワードとなっている.農福連携は障害者の就労支援の一環と捉えられている.もともとこの農福は昔から取り組まれていて,リハビリやレクレーション,また就労訓練として取り組まれてきた.最近では介護保険施設における園芸や動物のセラピー効果を期待した取り組みにも広がっている.しかし,これはあくまでも農業を活用した一施設の取り組みで広がりを企図していない.この頃言われる農福連携は,より広範囲な取り組みである.
- 農業サイドでは高齢化や人材不足が深刻である,福祉サイドでは工賃などはまだまだ低賃金であり,さらに就労機会は少ない.これらをマッチングして,Win-Winの関係で行うこと.
- また農業に内在している福祉力…自然と人間の相互作用により心身の改善が図られる.朝起きて日に光を浴びる.風の音を聞くなど.
- 最近では農林水産省と厚労省がそれぞれの農福連携をそれぞれの立場でアピールするようになっている.さらに新しい出会いも生まれ,既存の考えや取り組みを超えた企画が生まれている.
- 表題の里まちとは,実際の里山ではなく,自然と人間の接点を指し,それを敷衍していきながら多様な人たちが互いに支え合って生きていくことを意味している.農福とは,人と人の想いをつなげ,これまで分断されてきたものを連携させ,それぞれを輝かせ,かつ全体を輝かせる.
生活困窮者自立支援制度における就労支援と地域づくりの展開(新保美香)
- 本制度はどのような状態の人であっても断らず受け止め,包括的な支援をしていくことを目指している.自立相談支援事業には,主任相談支援員,相談支援と並び,就労支援員が配備されている.
- 働くことについての定義とか社会学的考察がされているが,割愛する.
- 本制度における就労支援とは,困窮者の自立と尊厳の確保,支援を通じた地域づくりという二つの目標を踏まえたものである.これは経済的,日常生活,社会生活の三つの自立に基づくものである.
- 就労支援は,豊富なメニュー,出口の支援を見据えること.社会資源の創出ないしは開拓無しには就労支援は出来ない.また,本人を基点とした就労支援,本人を変えるのではなく,環境を合わせる支援など.
- 農福連携や社会福祉法人が展開する社会貢献事業等,さまざまな機関との連携も必要である.先駆的なことをする人たちに共通するのは,人を大事にすること.また困窮者も保護受給者もそうしたラベルを貼ることなく,かけがえのない人として,その人の幸せを願い,かかわりをはじめている.
- 生活困窮者の長期就労を実現した企業へのヒアリング調査に基づく、効果的な就労支援の方法に関する研究事業 :PDF
- 生活困窮者支援の人材育成に使っている資料:URL