2017.9
地域共生社会の実現に向けた計画化

地域福祉計画を実効性のあるものとしていくために(松端克文)
2015年に地域共生社会の実現が掲げられた.さまざまなことがあって,地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法などの一部を改正する法律案が2017年に成立し,一部を除いて2018年より施行されることになった.
地域共生社会とは,制度や分野の縦割りを越えたところで,支えてと受け手という関係性を越えて,地域住民や地域の多様な主体が我がこととして参画し,人と人,人と資源が世代や分野を超えてまるごとつながることで,住民一人一人の暮らしと生きがい,地域をともに創っていく社会を目指すことである.地域福祉計画(市町村が立てる計画:都道府県のは,地域福祉支援計画)は他分野の計画を横断的総合的に統合するいわば上位計画として位置づけるべきとされた.この計画づくりとしては,ゴミ屋敷や介護や育児のダブルケア,障害者の子どもと高齢の親と言った複合的な問題をどう横断的かつ総合的に対応するのか.社会資源をどう生かすのかなど計画化が必要であること.総合相談窓口を活用するためには,相談に来ないような人たちをどうするのかなども含まれてくる.ネットワーク形成とそれぞれの役割分担を取り決める必要がある.当然,我がことのように住民が考えてもらうためには,気づきややる気を醸成するように策定プログラムを作る必要がある.総合相談はそれ自体で完結するのではなくプラットホームのような役割を担っていると考えるべきである.
ただ,排除が可能である場合にのみ包摂がある.社会的は凝集性は,統合されない人々あるいは集団があって初めて目に見えるようになる.排除無しの包摂という考え方を摂るのだとすれば,全体主義的な論理が必要とならざるを得ない.よって,多様性を尊重し,排他的な事実を認めつつ,前提的なモノとしての社会的カテゴリの更新を限りなく重ねていくことが共生することと捉えるべきである.

座談会 地域共生社会を目指して

地域福祉計画による他計画の総合化(永田祐)
「地域における住民主体の課題解決力強化・相談支援体制の在り方に関する検討会(地域力強化検討会)」の中間とりまとめを参照すれば良い内容.
しかし,この地域住民の主体性とか各分野の統合とかは2000年頃から提唱されていて,新しいモノではない.しかし,昨今社会的孤立や複合的な問題や制度のはざまなどによる社会的排除などがクローズアップされている.これは既存の制度では対応できないと言うことを意味していた.このことも2000年頃の地域福祉計画で提唱されていた.しかし,窓口をたらい回しされるとか総合相談の必要性も提言でとどまっていた.しかし,努力義務でもない地域福祉計画は市町村にとって優先順位の低いものであった.

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