2017.3
第三者評価と福祉サービスの質の向上

内容については2011.6月号の特集とほぼ同じ.もっともこの第三者評価は出版元である社会福祉協議会が主に行っている事業である.また,この第三者評価を行うには,社会福祉法人が高額な費用を負担する必要がある.売り手としては,買い手に出来るだけ評価してもらいたい.そうした魂胆が見え隠れする.

対談
2012年から乳児院や児童養護施設などでは3年に一回の受審が必須となっている.
都市圏の保育園の問題として,量の拡充が図られる一方,認可保育園でも質が悪くて辞める事態が生じている.辞めると今度他の認可保育所に入れることが難しくなる.やはり質の保証の考え方が大切である.また利用者についても措置から契約になり,権利意識が高くなっている.また社会的弱者が対象では無く普遍的な対象へと拡大もしている.その意味でも質の保証は大切である.→保育所版評価基準ガイドラインが2016年に発出される.
保育や幼児期に日本はお金をかけないことへの批判,社会の土台を作るためには子ども保育や教育にもっと投資をすることによってその人たちが将来大きくなって税金をきちんと納めるようになること,つまりお金の循環を作る,それが持続可能な社会を作ることにつながると言うこと.
第三者評価が施設のあら探しをすることになれば,指導監査と同じ.調査者と施設がいかに建設的な関係を作り,その中で良いものが伸びていく,施設が力をつけていくことに資する物で無いと意味が無い.また調査者は末端の施設職員にも評価した内容を伝えるなどの共有をするべきでは無いか.あるいは,地域や利用者にもこのように評価されましたと入り口に張り出しても良いのでは無いか.また地域にもっと施設のことを知ってもらうために第三者評価の結果などを地域住民と話し合うことも一つの方法だと思う.
最低基準が今最高基準になって,コンプライアンスが護られていると説明されることが多いが,本来に立ち返ると,利用者の人権や権利保障を目指してより良いサービスを積み上げることが大事では無いか.

座談会 第三者評価の使いどころとして,毎年の事業計画策定のために使う施設や,3年に一回程度,中長期的な計画の見直しの一環として使う施設などがある.主体的な受審が進むことを評価機関としては嬉しいとのこと.
もっとも第三者評価の使いどころは,ケアの見直しや自分たちの仕事がどの程度なのかを客観的に見ることが出来ることといえる.法人としては不足している,出来ていない点に気づきたい.
どの種別の施設であっても人の生活に関わることだから,生活の土台を作っていくという意識で第三者評価を捉えることが大事だと思う.2016年度内に高齢者分野と障害者分野の第三者評価のガイドラインが発出される予定である.施設の仕事とは何か,「オムツ交換をすることである」<「家族や地域の人たちと交流して利用者に幸せに生きてもらいたい」<「その人の人生が有意義なものとして,私も支援することで関わっていきたい」という志の大きさによって施設の質は違ってくる.第三者評価は,そうした志の大きさのスケールでもある.

2017/8/17

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