2016.9
人を育てる職場づくり

座談会 福祉で働く人を増やす

福祉サービスを担う人材に必要な基本理念と倫理(岸田宏司)
施設内での事故や事件を目にすることが多くなっている.ビジネスでは困難に遭遇したときは原点に戻れとされるが,福祉サービスにおいては福祉サービスの基本理念と倫理に立ち戻ることである.事件や事故の背後には,個人的な知識や技術不足だけではなく,組織がもつ欠陥などが大きく影響しているとみるべきである.
また,利用者の尊厳などをまもるためには,職員の権利が保障され,適切な収入が得られることが大事である.また働きがいのある職場を作ることは管理者として当然の責務である.また倫理に基づいて一般の職員が働いているかどうかは,日々のコミュニケーションが大事である.法律でうたわれている理念をどう具体的に実現していくかの模索が必要である.

チームリーダーに求められるリーダーシップとは(久田則夫)

  1. チーム全体をまとめ,良き方向に導くコンダクターとしてのリーダーシップ
  2. 一人一人のチームメンバーがそれぞれの個性,特性,才能を存分に発揮できるように支えていく
  3. チーム間,部署間といった組織内の調整役,すなわちコーディネーターとしてのリーダシップが求められている.

良きリーダーになるためには

  1. 率先垂範力〜自分で動いて模範を示すこと.
  2. 使命把握力〜理念を的確に把握すること.
  3. 自己点検力
  4. 意識改革力
  5. キャリア責任力〜自分の知識や技術を磨き続けること.
  6. チャレンジ力
  7. プラスの視点力
  8. 職員サポート力

スーパービジョンを現場で活かす(相沢譲治)
先生がスーパーバイザー研修で職場のことを聞くと,悲観的で否定的であることが非常に多い.評価の基準の不明確さからなんだかやりがいを感じないなど.
スーパービジョンとは,バイザーがバイジーに対してより良い人材育成のために教育的な機能,管理的な機能,支持的な機能を活用し,究極的には一人一人の職員がより良い支援ができるようにする方法であり,プロセスである.
バーンアウトしないためにも支持的機能は重要だし,理不尽なことを利用者からされた場合の感情のコントロールのためにも柔軟な思考や支援体制への転換・気づきのためにも活用される.
なかなかゆっくりと時間がとれない場合は,生活場面面接の考えを取り入れ,その場で効果的なスーパービジョンを行うとか,ビジョンとは見通しであり,そのためには洞察力が必要であるとか,コーチングの技法を使って気づきを促す方法も有効であるとか,

感情労働の視点から福祉ではたらくことを考える(吉田輝美)
福祉活動といえば,ややもすれば,自分を犠牲にして相手に尽くす,いわば,昔の滅私奉公のようなイメージがつきまといがちと表現される.これは福祉に対する社会的評価の一つである.いまだに福祉を労働であるというと批判する傾向にあるようで,コンセンサスは得られていない.奉仕の精神,無償性,見返りを求めない態度とか…
利用者やその家族からののしり声や否定の言葉を浴びせられても,利用者を否定せず対処する行動を取らないと行けないなど感情のコントロールが求められるのが福祉の仕事であり,感情労働と言われるゆえんである.
感情労働の定義…ホックシールドの紹介とか,低賃金で離職するよりも人間関係とか会社の理念が合わないなどの理由が多いとか.利用者からの言葉に傷つけられても,上司の無理解でさらに傷つけられてしまうという二重のストレスにさらされていることが多い.そのため,セルフケアと組織でのケア…ラインケアが重要であるとか.

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