2016.12
地域で支える地域包括体制

座談会 新しい時代に向けた地域包括支援

地域のニーズを地域で支える(岩間伸之)
生活困窮者自立支援法などで社会的排除のない社会を目指していることに言及.総じて生きづらさを抱えている人をいかに支援するかを軸に論じている.生きづらさを本人の側から考える姿勢が大事で,そのニーズを視野に入れること.制度の中で考えるのでは無く,生活の中にある複数のことが一体的に生じているという視点.そして生活は地域と結びつき,地域が問題をはらんでいることを覚えていくこと.人が制度に合わせるのでは無く,制度が人に合わせるという考えを持つこと.それが地域福祉である.
総合相談は近年の地域における相談支援体制を象徴する重要な概念である.総合相談は中学校区くらいの小規模で,アウトリーチや伴走型の個別的・継続的支援の拠点とする.そして個別支援と個別を支える地域支援を一体的に行うこと.専門家と日常的に連携できる住民の担い手の存在.それをバックアップする広範な社会資源の存在が欠かせない.そして出口として地域がどのようにあるのかという形…一つの個別支援が地域を変えるという考えの下で地域福祉を推進すること.しかし,入り口と出口ができてもそこに至るプロセスがないと出口には至らない.プロセスこそが援助の特質で在るとも言える.
アウトリーチとは戸別訪問だけでは無く,本人の生活の場に近いところに出向き,本人を起点として援助を展開する実践の総体である.地域を拠点とした援助を展開することも含まれている.

福祉サービスの効率化に向けて(田島誠一)
論者が考える効率化とは,お金と時間を無駄なく使うことで生まれる余裕を利用者のサービスの充実へと振り向けることである.利用者を全人的に向き合い,支えることで職員の自己実現を図っていくことであると.
2015年に厚労省から「誰もが支え合う地域の構築に向けた福祉サービスの実現」が出され,そこで効率的・効果的なサービス提供の必要性や生産性の向上を歌われた.これは厚労省が福祉サービスについて使用したのは初めてだと思う.その上で,効率化とは提供する側の手抜きでは無く,福祉観に支えられた物では無いといけないこと.生産性の向上は業務の効率化によって実現されること.これまで労働を削ることしか考えてこなかった.また生産性を上げるために投下する費用をケチってきた.その結果,効率という言葉への忌避的感覚がある.組織体制の見直しや直接サービス提供場面での見直しなど改善する余地はたくさんある.また離職率の高い職場は非効率の極みと言って良いという考えで人材育成を図ること.事務処理合理化,記録のICT活用で天気のロスを無くすなどやれることはたくさんある.その結果,サービスの創意工夫二時間をかけることが大事である.

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