2016.11
農福連携ー大地に生きる,自然と生きる

共生社会を創造する農福連携(杉岡直人) 農の多様性は,物作りの活動と同時に,それを流通/販売へつなぎ,社会への働きかけを必要する点で家族・集落そして関係機関/団体との連携を伴う事業活動と言える.特に事業を拡大する過程では,商社や企業あるいは関係団体との契約などの交渉能力も問われることになる.もちろん,個人あるいは兼業農家として限られた取り組みを選択する場合も多い.
また自然の変化や状況が一番大変であり,多様性という意味ではこの自然とのかかわりこそがそうであるといえる.
地域福祉から観た農業との連携は,多様な作業内容を含む行程の中で多くの担い手を結びつけることが出来る.また,この農福連携は新しい話題では無く,農業の人手不足や荒廃農地の活用と福祉分野における就労支援を意図した職域拡大,工賃の向上を目指して取り組みが始まった.また障害と農業の親和性は高く,取り入れている事業所は多い.
福祉と農業の融合の始まりは,福祉的なサポートを必要とする人に対する園芸療法やリハビリ効果を高めるために農作業を導入する姿が一般的であった.福祉施設で取り入れられていた農の規模としては,その成果物を施設内での食事に利用したり,近隣への販売にとどまっていた.一方,農業の分野も人手不足を補う意図から障害者の受入を始めたところが多かった.今は,先進的なところでは,生産物を購入する消費者とのパートナーシップによって支えられており,生産,加工,販売のそれぞれの場において得意な作業を活かすことを追求する営利活動としての意味合いが強くなっている.それは,福祉的なサポートを必要とする人の経済的な自立を目指すことである.また農業を通じて多世代や地域の人たちとのつながりをより広げていく活動になっている.

農業と福祉の連携をどのようにすすめるか(小柴有理江)
農福連携にはパターンがある

  1. 福祉サイドの主体が農業に取り組む
  2. 農業サイドが主体になり就労訓練や紅葉などで障害者を受け入れる.
  3. 特定子会社を設立して農業に参入するなど,企業などで農業とも福祉とも関係の無かった主体が取り組みを開始するパターン,

中でも1の福祉サイドでの取り組みが急増している.特定非営利活動法人の統計から,約三割の事業所が農業活動に取り組み,収益を求めて行っていることが明らかになっている.ただ,農業技術を持つ人材の確保が課題になっていることも明らかになっている.また,資金や土地の確保,販路を含む経営の解題もある.
以下,福島にある事業所の事例紹介.事業拡大や廃業した農家から引き継いだこと.販路拡大の経緯などが記述されている.また農業関係者と福祉関係者の接点として,直売所という拠点を作ったことや意図的に交流会を企画したり,施設外就労を施行してみることなどの取り組みの紹介.また施設外就労に出向く中で職員が栽培技術や知識を徐々に習得していったこと.リタイヤした高齢農家の協力を得たりなども技術習得では一役を買うことになった.市場に出すには出荷量の小ささや規格,ブランド力の弱さから望むような価格では取引がされないという話も聞かれている.よって,直売や契約栽培にシフトするケースが多く見られる.近年では国や先進地的な自治体でも農福連携を積極的に支援する動きが出始めており,厚労省と農林省が連携し,農福連携を推進するためのパンフレットが作成されたり,かくちでセミナーも開催されており,農福連携に関する情報もアクセスしやすくなっている.

2017/8/16

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