2015.7
認知症をどう支えるか

インタビュー 新オレンジプランと認知症ケア

• 2025年には認知症の方は700万人にもなると言われ，2015年に認知症施策推進総合戦略を作成した．
• 認知症の形態はさまざまであるが，アルツハイマーが半数を占めている．介護保険の要介護認定は認知症の方にはあまり向かない設計になっている．また当時は痴呆と言われていたが，2004年に認知症と名称の変更は社会にとっても大きな変化であった．
• 新オレンジプランは地域包括ケアに沿って認知症を住み慣れた地域で暮らすようにする旨の取り組みにまとめていることは評価できる．課題としては，必ずしもナショナルプランではないと言うこと．また施策のアウトカム指標を作ってはおらず，定量的評価ができるわけではない．
• 医療と福祉の連携については，必ずしも図られているとは言いがたく普段の生活の中での様子などを医師と情報共有することが難しい．BPSD(例えば，せん妄や興奮状態など）によっては精神科への入院も必要であるが，できるだけどうして必要なのかなどの情報公表を含めて入院の基準の透明化や可視化を進めるべきである．また，福祉側にも受け入れるだけの力量をつけるべき．対応が困難で受け入れられないというケースが多いため．
• 認知症の理解を進めるに当たって，認知症カフェなどがあるが地域でも理解がすすむことで例え徘徊があっても地域で見守ることで安全に生活できるはず．しかし都市部では鉄道事故や交通事故も起きており，一概には言えない．
• 認知症地域支援推進員を全市町村に配置して，地域の認知症施策をコーディネートすることになっているが，多くが兼任などでなかなかすすんでいない．また，教育の機会を増やすことで認知症への対策が進んでいくと思う．

在宅での高齢者の生活を支える仕組みｰデンマークから学ぶ(山路憲夫)
デンマークでは1980年代に特養の廃止を決定し，在宅中心の社会にした．中には2009年には特養は全廃し，介護付き高齢者住宅や自宅への移行を完成させている．かなり恵まれた住環境やスタッフの数であり，認知症であれば高齢者一人に一人にスタッフが配置される．在宅でも自己負担がなくかなり手厚いサービスが受けられている．
この論文ではデンマークマンセーな内容であるが，実際の財源はどうなのか．この論文では全然触れていなかったけれど，なるほど．思想そのものが全然違う．

高齢者の権利擁護ｰ認知症の高齢者，家族の生活を守る(平田厚)
騙されたり脅されたりして直接的に権利が侵害されたり，権利を行使すれば実現できることを権力行使できずに不利益を被る間接的な震害もある．家庭内暴力などでの身体的な虐待や施設などでも介護事故などで不利益を被ることがある．そのため，認知症のことをよく知り，どうしたらいいのかをあらかじめ考えておくことが必要である．
認知症の中でも，短期記憶と判断力の低下による振り込め詐欺や訪問販売などに引っかかるような経済的は不利益がある．また，妄想，幻聴，徘徊などで家族のストレスが高じて虐待を受けてしまうリスクがある．
認知症の人へのアドボカシーとして，権利侵害者と戦うもの，制度的に支えるものに大別され，戦うものとしては，成年後見制度による代理権の行使がある．被後見人が間違って行った契約の取消しなどができる．また日常生活自立支援事業により金銭管理を代行することで特殊詐欺から守り，一人暮らし高齢者の生活を支えることができる．介護事故リスクマネジメントは高齢者の転倒や不適切な対応による事故を未然に防ぐためのネットであり，これは明らかに支えるアドボカシーである．
高齢者虐待防止法は養護者と被虐待者への対応を定めた法律であり，被害者には戦うアドボカシーとして，養護者へは支えるアドボカシーとして機能している．養護者の被害者へのストレス緩和や必要な措置を講じることができる．また再発防止が最も大事であり，地域において家族を支える支援システムが不可欠であると思う．それは，地域のおける権利擁護センターがより機能することが重要だと思う．