2015.3
コミュニティ再生と福祉のこころ

インタビュー(炭谷茂)
炭谷さんは、社会福祉基礎構造改革の設計者として当時の厚生労働省の局長だった人。契約への移行は施しの福祉から権利としての福祉に変えること。それは人権の尊重にあったとのこと。ただ基礎構造改革からは、あえて低所得者や生活保護の課題については外していた。それから15年…社会的排除と孤立、低所得者、地域の相互扶助関係の崩壊などが顕著になってきた。
人権問題としてソーシャルインクルージョンをしていくことの必要性。昔は、地域で一緒に何かやるとか、祭りとか、一緒に遊ぶと行ったことがあったが、現在は意識的にそうした機会を作らなければソーシャルインクルージョンは果たせなくなっている。
福祉が中心となる社会を作るとともに、社会、環境、経済という三つの課題を融合した政策を地域社会の中で展開することが重要だと考える。

これからの社会における共生、ソーシャルインクルージョン(三本松政之)
人口減少社会という用語が注目されたのが2014年、そこから2040年には896市町村が「消滅」する消滅可能都市となることが指摘された。色々な要因などについては割愛。
問題は、人口が減少し続けることで近所の商店街の閉鎖等で買い物難民が出てくること。バス路線の廃止や本数の減少などで移動の制限や行政へのアクセスが制限されることを概説している。また自治体の消滅は住民自治の場が遠ざかることでもある。
移民の人権をどう考えるのか。あるいは包摂していくのかについて日本は余り考慮してこなかったが、人口減少社会では異質な存在を顕在化させる社会でもある。自己決定やエンパワメント、支援環境の整備を旨とする福祉にとって考えないと行けない問題でもある。

多文化共生とコミュニティ再生(加山弾)
移民を毎年20万人受入、且つ合計特殊出生率を2.07まで回復させることができれば100年後も人口を一億人は維持できる。ただし、そうしなかった場合は2110年に4286万人に減少するとか…面白い試算だねぇ。
移民の持つ他文化との交流や理解、衝突や共生そうしたことを考えないと行けないようになってくるのかも知れない。社会的排除の問題として捉える必要がある。
保育園での多文化への対応、自動車産業がメインの地域での多文化を日常生活で支えるためのNPOとかボランティアの取り組みの紹介。

過疎地域のコミュニティを支えるために(高野和良)
過疎地域とはそもそも法概念であり、単に人口が少ないというだけではなく、短期間の人口減少に社会の仕組みが間に合っていないことを指す。しかし、公共施設の建設や道路整備などに偏ってきたため。之までの過疎対策は人口減少に歯止めをかけるに至らなかったと言える。また65歳以上の世帯では一人暮らしや夫婦二人暮らしの世帯の増加、現在の見守りや生き生きサロンは、どちらかといえば一人暮らしの人が対象で、男性の参加も少ない、夫婦二人世帯への取り組みは一人暮らしに比べて後手に回っている。また多様な二人世帯、父親と息子、孫…パラサイトシングルだけではなく、未婚な継親と同居している場合もあるし…となかなか上手くかみ合っていない。
2015.3.17

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