2014.6
子どもの貧困ー漂流する若者たち

インタビュー 子供の貧困とは(阿部彩)
貧困研究では非常に有名な先生.
子どもの相対的貧困率は16%を越えていて,OECDでも10番目の高さ.基準の所得ではひとり親世帯では125万円,二人世帯では177万くらい.貧困の子どもうちひとり親である率は3割で,案外二人世帯が多い.児童養護施設に入ってくる子どもでも,はじめておやつを知ったとか,まともな食事は給食だけだったということの声も聞こえている.養護施設以外でも貧困に陥っている子どもへの施策は,そもそもそんな子どもがいないという認識で何もされていない.
先進国の中でも再分配率が非常に低く,貧困に陥っている人からも無頓着に取られているという…子どもは家族がみるものであるという風土の下で社会全体で子どもを育ているという認識が薄い.学歴社会なので,高校中退や高卒では低賃金の仕事しか回ってこない.また最近では,貧困の連鎖と同時に,貧困か抜けられない,階層の移動率が固定している.→格差社会の固定化.

保育所などでは読み書きだけではなく,考える力などの素養を身につけるべきとか,クラブ活動に参加させるために,道具などは学校で揃え,自己肯定感を養おうとか.

日本では,家族の機能を高めましょうというものの,その家族に対して支援をするわけでは無く,家族の中で解決するものという風潮がある.

子どもの貧困対策としての優先順位として,300万人いると言われる貧困状態の子どもよりも3万人いると言われる児童養護施設の子どもへの対策を優先して財源を投入する.そして,富の再分配を見直すこと.児童扶養手当の増額などで子どもの貧困状態を少しでも改善させること.あと義務教育で落ちこぼれを作らず,中学校3年生の学習指導要綱で定められた各教科の内容をきちんと理解しているようにすること.
児童養護施設としては,保育所や教職員,小児科医,あしなが育英会などがお互いに手をつないで大きな声として子どもの貧困を訴えて欲しい.

若者の雇用をめぐる現状と課題(小杉礼子)
世界的には若者の失業率とかニートの割合が上昇しているとのこと.日本では,非正規雇用が若者の間で定着したが故の相対的貧困が問題となっている.ニートに関しても,高い年齢層を含むと同時に求職活動をしていない非活動的な層に絞り込んだ定義になっている.ニートの類型としては,学校中退,いじめに遭って引きこもったこと.対人関係が苦手意識が強いこと.精神科での治療経験があるなどである.ニートの何が問題かは,ニート経験がその後のキャリアに大きく影響を与えることである.新卒採用を好む日本の雇用形態では,ドロップした人や就職に失敗した人たちにとっては高い壁になっている.この新卒採用システム以外のルートを広げ,若者が職業的にも社会的も自立できる社会にしていくことが必要である.

格差社会の中を漂流する若者たち(宮本みち子)
ポスト工業化の時代では,多様な人生ルートがあり,晩婚化,非婚化,若年雇用問題の発生,少子化などが社会問題となった.ひきこもりやニートなども同様である.つまりライフコースによって格差が生まれたのである.
労働市場においては,この格差拡大のダメージは若者に大きくのしかかったと言える.世界的にもこの格差は問題となり,主にヨーロッパでは社会的排除論のレジームでの政策が施されていて,

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