2014.5
障害者権利条約、批准

小澤温「障害者権利条約とは」
これまで障害者に関する理念などはあったが拘束力のある条約はなかった。この条約に日本は2007年に署名し、2014年に条約が発効した。それまでに国内法で整備が進んだ。合理的配慮や障碍者への権利保障が明確になっている。
国内法の制定については、障害者差別禁止法や障害者総合支援法、2011年の障害者基本法の改正などでの定義の見直しなどがされた。また障碍者虐待防止法が成立している。
2013年には国の第三次障害者基本計画が発表され、これまで二回制定された障害者基本計画とは異なり、権利条約を十分意識した内容となっている。権利者としての主体、あるいは差別の禁止、共生社会、アクセシビリティの向上など医療モデルから社会モデルへの転換が明確になっている。また雇用や権利擁護なども強調されている。いわんや社会的障壁をどう取り払うかが新たな社会の構築にかかっている。

長瀬修「障害者権利条約実施」
広報してこの権利条約を知ってもらうことが一番である。特徴的なところでは、
1.手話が言語として認められた。2.障害者差別の禁止と合理的配慮。3.女性障碍者の不当な待遇や格差への取り組み。4.障害児童の参加の問題。5.アクセシビリティ:施設やサービスの利用のしやすさへの配慮。6.緊急事態の安全確保。7.法的能力と権利:後見人制度など。8.搾取、暴力、虐待防止。9.強制治療と入院の見直し。10.地域生活への移行の推進。11.家庭生活に関する能力の奪取の禁止:優生保護法などの思想への批判。12.インクルーシブ教育(障害者を抱擁する教育)。13.労働への配慮と差別の禁止。そのほか所得保障、政治参加、文化的生活、国際協調などである。
そのほか締結国会議や障碍者権利委員会によるモニタリングなどを通じて進捗状況は確認される。私たちのことを私たち抜きに決めないでほしいというスローガン。

2015.11.9

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