2013.3
特集:復興と地域社会~東日本大震災から二年

インタビュー
希望学という研究をしている人からのインタビュー.復興が進まない理由に行方不明の方が当時まだ2700人いたこと.帰りを待っている被災者が多くいること.希望学はちょっとでも良い明日にしたいという時に出てくる言葉.夢や希望は叶わないと意味が無いと思われがちだが,紡いでいくこと自体が尊いことで,互いが希望を追いかけていくことを支えあるのが大事だと思っている.被災地はまだ混沌状態ですから,理論的ではないものをキレイに排除してしまうと,希望に出会うチャンスを失ってしまう.
挫折を経験した人が過酷な状況を乗り越えて希望に出会うというのは普遍的なことだと思いますが,本当はそんなに苦しい思いをしなくても自分の進むべき方向が見えてくればより良いと思う.希望が無いというのは,本能に無いわけでは無く,何を具体的に想像すれば良いのか見えないだけでは無いか.希望学の実践は,対話する,言葉にすることが大事で,また,強い気持ち,その人が大切にする何か,実現するための道筋,行動という4つの柱から成り立っていて,希望が見えないときはこの4つのどれかが欠けていると見るべき.
被災地から離れたところに住む人たちには,お金を使ってほしいのが一番である.被災地に行って地酒を飲む.おいしいご飯を食べてお金を落とすことで雇用につながるし一番喜ばれると思う.Uターンとかでは無く,一年に一回訪ねるような第二,第三の古里を持つことは良いことでもある.
また被災地のボランティアに求められるのは,良いことをしようとか,良いことをしていると思わないこと.された方はそんな良い気持ちではない.ちゃんとやっていれば大丈夫であること.

日本の災害対策の歩みとこれからの課題(高梨成子)
日本は災害多発酷であり,2000年からの10年間で世界で発生したマグニチュード6以上の地震の約二割は日本で発生しており,風水害や火山噴火災害なども多発している.備荒貯蓄法(1880)→災害救助法(1947)→災害対策基本法(1961)となっていく.それまでは地方の財政,基金でまかなうことが基本であったが,対策基本法により国の責任や役割が明記されるようになった.また財政金融措置が為されるようになった.その後,阪神淡路大震災により,災害に強い町作りや災害応急対策,緊急災害対策派遣隊や災害医療チームなどが整備されるようになっている.
要援護者対策,災害弱者対策としては昭和60年から取り上げられてきたが,大きくクローズアップされてきたのが平成16年の新潟福井豪雨災害であった.避難に遅れがちな弱者に対して,避難準備情報が出せるようにした.また地方自治体に,要援護者名簿を作成し,支援計画を策定するよう求めている.
2011年の東日本大震災は第三の転換点として捉えられている.津波防災地域作り法が施行され,災害対策基本法も2012年6月に一部改正されている.
歴史的に災害対策は,大災害発生後の強化と経年劣化を繰り返してきた.減災の最大の鍵は地域や人々の記憶に刻まれた教訓をいかに長く継承し,実践にむすびつけていくかであろう.

2017/8/16

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