2013.2
将来につながる福祉人材確保と育成
鼎談
- ・大学生に対する福祉業界の参入について説明するさい、経営とか福祉工学とか介護職の開発などそうした福祉業界=介護現場ということにこだわらないで説明すると喰い付きははよいとのこと。
- ・主婦層などにターゲットを絞って、正しい知識と技術を持ちましょうという講座を拓くなど。
- ・肝心の介護福祉養成校に関しては、努力が足りないとばっさり。親の反対などもあるし、仕事の重要性は分かっているけれど、行きたくないという調査報告もある。
- ・情報の出し方とかプレゼンテーションとか…まぁ、話題としては分かるが…
- ・辞める理由に、人間関係の次に会社の理念や運営のあり方が不満となっている。鼎談では、理念がしっかりしており実践に結びついていると離職率は低いとのことだが、むしろ、運営とか人事とかそっちなんじゃないかなぁとか。
- ・実践知の蓄積と形成とか、共有とかそうしたことを通じて専門性を向上させてほしい。
- ・組織の枠を越えて、ネットワークを形成して同じ職種での学び合いや対話などを進めていくような場の形成なども良い。すでに担当者会議、ケアカンファレンス、地域ケア会議など話し合う場は多くあるし、職能団体や事業者断定でも研修の場を設けている。そうしたモノの他に、日常的に話し合える場があればもっと良い。
未来につながる介護職員育成への提言(峯尾武巳)
介護職員の労働力不足の原因には、買い手独占の状態になっていること。事業所の参入と退出が市場メカニズム通りになっていないことが原因とする論点。さらに、介護報酬による政策的な制約や景気回復による外部市場ショックも要因にあげられる。
また仕事と賃金の関係では、独身のウチは学習の機会が豊かにあった方がよいし、結婚したならば生活に足る賃金画、子育てが終わった主婦などは、家庭との両立がとライフイベントによって変わっていくべきである。
やりがいのある仕事であると入職しても、辞めるときは仕事のわりに賃金がわりに会わないという割合が多い。それは、自分の仕事の評価が他者によって為されるために、やってもやり切れないという見通しのなさや流動性にある。
やりがいを持って仕事を続けていくためには…と反省する実践家(ドナルド・ショーン)とか経験から学びとか、事例研究から学ぶとか…前半の問題意識からいきなり飛びました。
保育分野における保育士不足の状況と保育士の専門性(大島恭二)
2012年8月に従来の認定子ども園法を改正し、幼保連携型認定こども園の拡充を中心とした子ども・子育て関連三法が成立した。それにともない待機児童の解消を目指し、建設が急がれておりそれに伴い保育士の確保が課題になっている。誰でも出来ると、資格要件を緩くする向きもあるけれど、被虐待児とか特別な支援を必要とする子どもなど専門性が必要な場合も多い。保育士取得後の就職先も保育所をはじめ、福祉業界に8割以上と魅力のある仕事だと思っている人が多い。しかし給与が低いために将来にわたって働き続けることが出来るかは不透明。それだけ賃金低いってコトで。
制度改革のもとですすむ福祉職場、福祉労働の危機(川村雅則)
福祉職場の雇用、籠城条件は悪化している。例えば、保育所保育士の半数は非正規職員でありそれは拡大しており、働く貧困層を生み出している。非正規雇用の場合は、公営でも200万以下が64%、250万まで含めると91%まで達する。また正規雇用への転換は不可能に近い。また介護分野でも過重労働が蔓延しており、勤務態勢や人体生にかなりの無理があることが調査で明らかになっている。夜勤のストレスも相当である。さらに仕事の内容が、求められる質が高くなっていることも重なり、人手不足も相まってアップアップである。専門性を強調するのであれば、その条件整備が不可欠であろう。
背景には制度による条件整備がまったく進んでいないことである。また職場レベルでは、有期雇用の濫用が働く側の権利行使を困難にして労使関係をゆがめている。
結局は安上がりの福祉からの脱却を求めるものであり、換言すれば福祉職にそのツケを負わせている現状をなお黙認し続けるのかが私たちに問われていると締めている。
2014.11.5