2013.11
生活困窮者の自立支援
インタビュー
経済学者との対談となっている。
- 公助(生活保護)をしっかりするとともに、昔主婦がパートであるよりも一家の稼ぎ手が非正規雇用であるという経済界の変化が貧困を拡大させていることを念頭に、時代は変わっていることを認識する必要がある。またTPP等で外国に開くと一時的に仕事が無くなる人が増える。よって社会保障の分野でしっかりとカバーしないと行けない。
- 団塊ジュニアの世代で2030年には60歳代になる。この世代から非正規雇用が増え、単身者も多く、住宅もなく、年金も不十分なまま単身高齢者になった団塊ジュニア世代が仕事もなく、行き場もなく都市部に増えることを心配している。2025年には団塊世代が後期高齢者になる局面だが、それがオーバーラップするように今度はその次の世代が厳しい経済状況に陥るのではないか。
- 生活保護の見直しもされており、多家族の保護費の水準を下げている。その一方で単身高齢者の保護費を上げている。家計の見直しによるものとのこと。また扶養義務の厳格化なども盛り込まれている。その一方で、生活困窮者支援というボーダー層も含めて必置事業として相談事業をおくこととなった。しかし、行政のCWは昨今行政のスリム化とか人口減少の中で増やすことは無理であるから民間で相談業務を担うのがよい。
- 相談機能と専門職の雇用は行っていくべきだし、現在のように、障害、高齢、生活保護、児童とバラバラで縦割りではなく、地域というベースで考える必要がある。
新たな生活困窮者支援制度の理念と「総合相談」の推進(岩間伸之)
生活困窮者自立支援法を中心に解説されている。
そもそも生活保護の受給に至るまでの貧困、あるいは社会的排除は、地域、経済、時代、生活課題が重層的に折り重なって生まれる。よって縦割りの対応ではできない。制度の狭間、あるいは生活のしづらさといった社会的孤立を含む生活困窮者の存在がある。その上で、早期発見、早期対応などの予防的機能を推進することが求められる。更に、社会的な孤立状態の人は自分から声を出さない。ボイスレスである。よって、アウトリーチ機能を推進する必要がある。更に問題の解決は単発的ではなく継続的なことが多くその意味で、伴走型支援機能を推進する必要があり、更にゴールを見定めるためには出口戦略としての社会資源の創設が必要である。そして、孤立状態に再び陥らないように地域における多層のネットワークによる協働的支援が展開される必要がある。
その上で、総合相談モデルを提唱している。このモデルは中学校区レベルの小地域単位で、総合的ソーシャルワークを標榜し、コミュニティソーシャルワーカーとか地域福祉コーディネーターが日常的に協働できる体制を構築すること。更に小学校区のレベルでの相談機能の強化を図ること。社会福祉協議会の果たす役割は非常に大きい。生活困窮者支援を糸口に、ゴールは地域福祉の推進にある。一つの事例が地域を変えることがある。全ての取り組みは事例からしか始まらず、全ての取り組みは事例に還元されないといけない。既存の複数の相談機能を生活の場で本人の問題解決に繋げること。還元すれば分散していた多様な相談機能を事例毎に再統合していくことが求められる。
2015.4.7