2012.2
障害者虐待防止の新たな展開

2011年に障害者虐待防止法が成立、2000年児童、2001年DV、2005年高齢者と4本目の虐待防止法となる。

傷つく障害者、障害者虐待の実態(野沢和弘)
最も虐待があったところは、親からのアンケートでは学校が24%だが企業、施設、家庭などあらゆる生活の場での虐待リスクがある。その後、いくつかのかなり酷い虐待の事例、それも施設系を取り上げている。隠蔽とか社長や施設長が行っているケースもあり、親としては受け入れてもらった手前、目をつぶらざるを得ない状況にあることが紹介。虐待をしてしまう職員、施設長、それに目をつぶる親…虐待をしたいために仕事をしているわけでも虐待を望んでいるわけでもない当事者達をどうにか救済するためにこの法律を活用するようにしていかないと行けない。

障害者虐待防止法とは(佐藤彰一)
市町村に障害者虐待防止センター、都道府県に障害者権利擁護センターを設置することが義務づけられている。虐待行為があっての損害賠償は民法や国家賠償法で判断され、この法律にはその判断材料はない。
この法律の経緯は、カリタスの家事件がある。県内唯一の障害者専門施設であり、県の委託施設であったにもかかわらず起きた虐待事件だった。
権利擁護としての取り組みを推し進めるためには、権利擁護と権利侵害が紙一重であることを啓発していくことが必要である。
家庭の虐待は、市町村が、施設は、市町村と都道府県がそれぞれの権限で、就労先は都道府県の通報に基づき労働局が対応する。市町村などが通報義務が明記されていることが大きな特徴。2条では規定されていない、教育や医療(精神病院など)での虐待には3条での広範囲の規程によることになる。ただ、3条には通報義務の直接適用がないが、相談センターは柔軟に他の方を駆使して対応することが求められる。他の虐待との違いでは、身体拘束における政党的な理由があるかどうか、障害者同士の身体的虐待や心理的虐待を施設が放置することをネグレクトとして規定している。

施設職員の権利擁護意識の徹底に向けて(久木元司)
代理権の行使ではなく、自己決定の支援をすること。こうした行為をして権利擁護の意識を高く持つためには研修や啓発が必要である。日常的、定期的な研修やチェック機能の大切さについて論じている。

家族への支援(和田忠志)
養護者支援について。養護者とは施設職員と家族を指す。
加害者の支援こそ、虐待解決の本道である。加害者は支援を必要とする人である。様々な虐待のパターンを紹介して、個別的にかつ加害者を理解していこうとすること、加害者と緊張関係を持ちながらも関係性を構築していくこと。また生活支援に際しては、家族の歴史を鑑みること。生活支援による癒しを期待させること(実際に生活支援を導入して家族に介護負担の軽減を実感してもらうなど)。
2015.3.17

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