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2012.12
考・今どきの若者たち

なぜ若者はホームレスになってしまうのか(飯島裕子) リーマンショックの後,若者のホームレスが増加している.要因として,若者の非正規雇用が約半数であり,離職後実家に戻るなどの家族によるセーフティーネットがうまく機能しない人がホームレスになってしまうケースが増えている.児童養護施設で育った,親の離婚で戻る家がなくなった,経済的に頼ることができない.虐待を受けていて家に戻れない.折り合いが悪くて…など多様なケースがある.その一方で,安定した仕事を得られればホームレスになることはないのではと言うことについて,就業経験で正社員であったが,離職したり転職したりと仕事の安定性を失っているケースがほとんどである.正社員→非正社員→製造業派遣→日雇い派遣→飯場労働者と労働力としてダンピングされている経験を持つ人も少なくない.また過酷な労働環境や職場内いじめによりトラウマになってしまうケースもある.もっとも,ホームレスは極端な例であるが,非正規雇用などで不安定な労働環境にあり住居も住み込みや寮などで安定しているとは言えない若者が多くいることを忘れないべきである.

若者と労働(大津和夫)
若者の格差について,「グローバル人材層」「なんちゃって高学歴層」「置き去り層」がある.グローバルは一流大学を出て協調性と語学力に優れ,価値の想像ができる人材.なんちゃっては高学歴だけど一流企業には就職できない層で,非正規雇用に甘んじることもしばしばの意欲の低い層.置き去り層は,高校や大学中退者で不安定な仕事で働いている若者や無職の若者.ホームレスの論文にあるような若者.
いずれにしろ「なんちゃって」と「置き去り」層は放置できない.福祉の面から税金を納めてくれないので生活保護の受給対象者になりコストが上がる.治安に問題がある.本来社会を支える人が支えられる側になれば経済や社会保障の支え手不足になる.職業訓練や失業給付などの公的支出が非常に日本は少ない.拡充する必要がある.

ひきこもりの理解(斉藤 環)
ひきこもりの問題はもはや若者の問題ではない.20年前の調査では21歳だったが,現在は32歳となっているからである.日本国内には70万人のひきこもりがいると言われる.定義としては,6ヶ月以上社会参加していない.非精神病性の現象である.外出しても対人関係がない場合はひきこもりとして考えるとされる.
ひきこもりは状態であって,二次障害として精神症状や問題行動が治療の対象になる.発達障害や統合失調症が潜んでいる可能性がある.長期に及ぶひきこもりは本人や家族の自助努力だけで解決することはほぼ不可能である.
ひきこもりの原因はさまざまあるが,むしろ何がひきこもりから抜け出すことができるのかを困難にしているかを理解することがはるかに重要である.治療においては,本人が来ることは先ず困難で,まずは家族相談から始まることが多く,重要なことである.家族が本人を受容したりすることで本人の居場所が与えられ,くつろいで過ごすことができる.信頼関係の再構築がひきこもり対応の第一歩である.その後,本人への薬物治療や集団への参加,対人関係の構築などのプログラムに進むことになる.また,親亡き後,あるいはお金の問題なども危機感を植え付けるのではなく,本人を一人の大人として信頼し,いざという場合にその判断に委ねるためになされる.
ひきこもりの問題は,若年ホームレスと同じように青少年が社会〜阻害されていく形式の一つとして理解する必要がある.

18〜20歳の若者の現状と課題(福田雅章)
児童養護施設から高校や大学に行く子どもが増えてきているが,高校になってから養護施設に入ることは少ない.しかし,住むところがなかったり家庭に問題がある子どもも多く,受け皿があまりない.あるとすれば自立援助ホームである.もともとホームは養護施設を退所した子どもの受け皿となっていたが,いまは退所した人よりも途中から入ってくる子どもが増えてきている.しかも社会資源としては十分とは言えない.2011年の厚労省の通知では,養護施設の対処を必要であれば20歳まで引き上げることになったが,それが自立につながるかは疑問である.養護を必要とする子どもは職を失うことが生活の拠点を失うことにつながってしまう.

若者に学ぶ(阿部真大)
ジモト志向や郊外のノイズレスな生活とか,田舎の人はやりがいを見いだしていないが人間関係の良さでカバーしているとか…1980年はBOWIE,90年代はB'zに代表されるとかよく分かりません.

上京と若者(難波功士)
東京で一旗揚げてやるぜといった青雲の志を抱く場所としてまだ東京は機能しているが,その一方で無数の失意が渦巻く場所でもある.今の若い人は是が非でも行きたい場所ではないような気がするという話.闇金ウシジマくんの話で終始するけど,「月刊福祉」でそれやって良いかどうか…

いじめの核心と,そこから目をそらさせるメディアの構造(内藤朝雄)
自殺した生徒に対する「かわいそう」という感情をいわばみこしのご神体にして,いじめ報道祭りが繰り返されることによって,人々はいじめを「悪」として問題視するようになったが,問題の核心からは目がそらされてきたことについて.
治外法権の閉鎖社会に閉じ込めるとまず,いじめというものは自然発生するものである.だから簡単に通報できるシステムにすること.市民グループなどが介入できる開放された空間を作ること.陰湿ないじめも,狭い生活圏では被害者を苦しめる性能が極大化し,広い開放的な生活圏ではそれが小さくなると言う決定的な特徴がある.学校自体が生徒を閉鎖的な生活環境に閉じ込める傾向を有している.それに学級制度が加わると,その閉鎖性が極端なまでに増幅される.だから学級制度を廃止すると生活環境がかなりマシになる.

10代母親の現状と支援の課題(森田明美)
10代の出産は件数も少ないので特別何か対策されているわけではない.しかし,虐待件数としては挙がる率が高い.10代は母子保健領域では早産が発生しやすいハイリスク群として捉えられている.飛び込み出産も多いため日頃から産婦人科に通いながら計画的な出産をしていないケースが目立つ.また望まない妊娠とか色々あって,虐待案件になりやすいとか.中絶率も高いとか…
10代子育て家庭への妊娠期からの福祉的支援の現状と課題 : 施設ヒアリングの分析から

2017/9/24

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