2010.5
新時代の施設長像
インタビューは、義肢補装具などの有名な会社の社長さん。なんでも企業フィランソロピー大賞をとったとか。いろいろと話しているけれど、人づくりは決してあわててはいけないこと。人の心を醸成するものであり、どんな優秀なスタッフでも一年や二年では無理で、醸成期間をゆっくりとって、一歩一歩成長させる気持ちでいないといけないこと。そして施設長が幸せな気分でいること。話をするときに笑顔であれば、その社員も少しは幸せになるはずという言葉が残っている。
提言は3本、一つが福祉士施設士や福祉施設長専門講座の紹介、人材育成、組織の共通認識を伝えることなどが盛り込まれている。施設長が専門的な視点に立つべきであるという意見は一致している。施設長自らがビジョンを持つことや体系的な教育の機会を得る必要性と、人材育成や環境整備への配慮の重要性に分けられる。もちろん、施設長自らと人材育成は両輪であるが、いずれにしろ乱立する施設の質の向上にためには、それぞれが努力すること。従業員にも教育の機会を与えて伸ばすことへの理解が重要といえる。
座談会(箇条書きで)
- すぐれた人材を育成したいのならばまず施設長自身がすぐれた人材になる必要がある。職員の仕事が上手くいかなかったら、それは施設長自身の勉強が足りないことを職員が身をもって示してくれると捉えないといけない。
- 研修システムがぜい弱で管理職が育たないという課題もある。
- 法令順守や雇用管理や事業展開に追い回されて、ビジョンとか理念をないがしろにしがちになるが、施設長は方向性を示したうえで職員を主役にしながら事業の見通しを施設全体で共有化していくこと(求心力としての施設長)。
- また安心して住宅ローンを組めると思えるような雇用を守ってあげること。そのためには事業を展開していかないといけないが、この経営と能力を活かすこと、あるいは福祉理念の実現の狭間が難しい。
- 福祉サービス、介護サービスに負け組は許されない。むしろ他の施設と競合関係を作るのではなく、支えあい成長しあう必要があると思う。
- 異業種から学ぶことや利用者家族、職員だけではなく地元の企業を支援していくような視点が必要。
- 現在は現場出身の施設長の比率は少ないが、10年後、20年後にはキャリア開発をしながら、施設の中からマネジメントをする世界にしたい。
- 思い切って職員に権限を委譲し職員を見守る勇気をもつこと。職員が責任を持つことでエンパワメントされ、このことが利用者のエンパワメントにもつながっていく。
(2012/11/24)