2009.4
生きる力ー自殺を防ぐには

「自殺させない地域社会」を作るために(清水康之)

家族ー残された遺族のケア(宮橋幸江)
自殺は宗教が影響するかと言えば,そういうわけでもなく,宗教は関係ないという前提に立っている.
自殺による死は家族からすればおおっぴらに公表できないものであり,悲しみを表出できない死として捉えられている.そのため,参列を拒否するなど副次的に社会的援助の機会を逸することになり,家族にとってはかなりのマイナスとなる. 日本の自死遺族者の特異性については,

  1. 遺族は自殺者の意味,理由にこだわり自責の念や個人への怒りをもつ
  2. 社会が自殺に対して偏見を持つ
  3. 自殺は遺族心理に負の影響を及ぼすので適切な啓発支援などが必要である.

死別を経験した遺族は一様に身体的負担を有するが,自殺遺族とは身体に現れる症状の差よりも精神的負担の差がかなり大きい.
遺族は社会的環境に疑いを持ち,その結果社会的に孤立する傾向がある.また,うつ病が自殺との関連が高いが,うつ病は遺伝が関与するという考え方もあり,親族たちは残された同朋への影響を気にせずにはいられない.自殺によって亡くなった家族とそうでない家族が悲嘆ケアで同席するとしばしば小さなトラブルになることがある.
自殺はある時点において偶然性が重なり,家族内で多発するようであることが考えられるので,ケアには細心の注意が必要である.

自殺者遺族の悲嘆--その特徴と求められるケアをめぐって〜PDFなし

死因の相違が遺族の健康・抑うつ・悲嘆反応に及ぼす影響〜PDFあり

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